
私の妻も妻の家族もそうですが、タイ人の方々はニックネームで呼び合うので、ここだけの話、妻の本当の名前は?と言われてもすぐ出てきません(いや、ちょっと考えれば思い出しますよ 笑)
またタイの方は本当の名前も結構長くて、更に日本人からみたら知らない言葉なので覚えにくい~と思う場合がほとんどだと思います。
ということで、今回は「タイ人の名前の秘密」について、名字やニックネームなど詳しく見ていきたいと思います!
タイ人の名前の構成
まずはタイ人の名前の構成ですが、タイ人の名前には、大きく分けて「名」「苗字」「ニックネーム」と3つになるようです。
※)ニックネームは「チューレン(ชื่อเล่น)」(”チュー”は名前、”レン”は遊び)と呼ばれ、日本人が自己紹介するときは、普段何て呼ばれているかを言えばいいですね
また日本では「苗字→名前」の順ですが、タイでは「名→苗字」と欧米式ですね。
「名」と「苗字」は正式なものであり役所とかに登録するものですが、「ニックネーム」は法律上の決まりはなく、付けても付けなくても自由。
普段ニックネームを使うのが基本なのに何の決まりもない、というのが面白いというかタイらしいですよね。
日本人からするとこの「ニックネーム」が日本人が言う「あだ名」とは少し違うものになるので分かりづらいかもしれませんが、以下の特徴を持ってます。
- 親が名付けることが多い
- 友達や職場での呼び名として使われる
- 生活の中でメインで使われる(目上の人にも普通に使う)
- 公式な場では使わない(病院、役所、学校の試験など)
ニックネームについてはまた後で詳しく見てみますが、このほかミドルネームを持っている人もいますが、それほど多くはないようですね。
タイ人の名前の付け方
では名前についてみていきましょう。
どの国でも同じになると思いますが、タイでは「名前」が人生に影響を与えると考えられています。良い名前を持つことで運が開け、何事もうまくいくと信じられているんですね。
名前の決め方
タイでは名前を決める時に「生まれた曜日・日付・時間」が重要視することがあり、音の響きや意味、その家族の伝統から付けたりするようです。
例えば月曜日生まれの人では母音を多く含む名前は良くないとされるようで、母音を含まない名前を付けることがあるのだとか。
また占い師やお坊さんに相談して名前を決めることもあるようですね。
(占い師やお坊さんに相談して名前を...というのは日本と同じなのかな。私も私の姉もお寺さんから10個ぐらい名前の候補をもらってその中から選んだみたいだし)
よくある名前の特徴
よく見かけるタイ人の名前の例としては以下がありますね。
(あくまで例です)
- 男性の名前:
- 「○○ゴン(กร)」(「先覚者」「リーダー的存在」を意味する)
- 「○○チャイ(ชาย)」(「男性らしさ」や「勇敢さ」を意味する)
- 「○○サック(ศักดิ์)」(「権威」や「名誉」を意味する)
- 女性の名前:
- 「○○ポーン(พร)」(「祝福」や「恵み」を意味する)
- 「〇〇ラット(รัตน์)」(「宝石」や「宝」を意味する)
- 「○○ディー(ดี)」(「良い」を意味し善良さや美徳を表現するのだとか)
また、法律で「使ってはいけない名前」も決められています。
【禁止されている名前】
- 王族に関連する名前(王様や王妃と同じ、または似た名前)
- 悪口や差別的な言葉を含む名前
- 社会倫理に反する名前
- 文法的に正しくない名前
さすがタイ王国。王族に関連する名前や称号は法律でその使用は禁止されてるようです。
(名前に限らず、対いる時には王室に対して何か気軽にコメントするのは控えるのが無難です。何をどうとらえられるか分かりませんし、最悪、逮捕につながるかもしれませんので)

タイ人の苗字の特徴
苗字は作ることが出来る?!
ではタイの苗字についても見てみましょう。
名字は日本と同じく、夫の苗字を使用するのが一般的のようです。でも2005年の法律改正で、女性は結婚後も自分の苗字を使うか、夫の苗字を使うか選べるようになりました。
さらにタイでは新しい苗字を作ることも可能だったりしますね。(これには結構驚き)
日本では親の苗字を引き継ぐので「苗字を新たに作る」という発想すらないかもしれません。
(新たに苗字を決める際も、お坊さんに相談することが多いようです)
タイでは結婚後に苗字を変えることも可能ですし、結婚相手の苗字を使わず、新しい苗字を作ることもあることから、夫婦や親子でも苗字が異なる場合があるんですね。
(何か不思議な感じがするのは私だけ?)
タイ人の名前は被らないって本当?
苗字に関連しますが、タイ人はフルネームが同じになることは基本無いようです。(全くないというわけではなく、非常に少ないという感じでしょう)
たとえば日本では「山田太郎」や「佐藤花子」など、同姓同名の人が存在することは珍しくないと思います。
(佐藤さんや鈴木さんなど、多い苗字の方は特にそうですね。「イチロー」で有名な野球選手のイチローさんの本名は「鈴木一郎」ですが、いったい何人の同姓同名がいるのか、という感じがしないでもない)
でも実はタイでは、同じフルネームの人は「基本的に存在しない」のだとか。というのも、タイの名字(苗字)は政府によって管理され、重複を避ける仕組みになっているからのようですね。
1913年制定の法律によるようですが、同じ苗字を持つのは家族内のみであり、つまり家族ごとに独自の苗字を持つことが原則となってます。
日本に置き換えてみてみると、タイの法律からすれば「佐藤」さんや「鈴木」さんという苗字を持つ人が全国にいることにはならず、タイでは「佐藤」や「鈴木」が既に存在しているのでその名字は新しく名乗れない、となりますね。
苗字を作る流れ的には以下になるようですね。
- 区役所で希望の苗字を申請
- 政府のデータベースで確認
- 既に使われている場合は却下
- 誰も使っていなければ登録OK
こうした手続きがあることから、
タイでは基本的に「フルネームが同じになることは起こらない」となるようです。
(本名が1つに決まるっていうのは、この名前の人は世界中でもただ一人!みたいで何か良い感じですよね。)
タイでは名前を変更できる
タイでは、名前を変更することも法律で認められています。
名前を変える場合には占いによる改名が一般的で、「運気を上げるために名前を変える」という考え方からのようです。
例えばの例ですが...
- 1)占い師に「今の名前は運が悪い」と指摘された
- 2)より縁起の良い名前にしたい
- 3)両親と同じ音の名前を避けたい
基本的に「今の名前は運が良くない」「今より運をよくしたい」ということから名前を変える、となるようです。
タイでは本名の名前よりも「ニックネーム」が日常的に使われるため、本名の名前を改名しても生活に大きな影響はない、ということから、比較的簡単な手続きで変えられるようですね。
(ただし、身分証明書や住所登録証は申請する役場ですぐ新たな名前で発行されるにしても、銀行口座とか運転免許証など名前の変更手続きしないといけないので、名前を変えるは実は結構面倒な事なのかも)
ちなみに上の1や2は、より運をよくしたい、というので分かりますが、3の「両親と同じ音の名前だから」というのがよく分かりません。(それを承知で親が子に名前を付けたって思ってしまいそう)
これはどうやら、同じ音であることがすべて悪いわけではなく、後に占い師や僧侶に「同じ音なので運が良くない」みたいに指摘されるケースになりそうです。
タイのニックネーム文化

続いては、タイ人が日常的に使う「ニックネーム」について。
タイでは法律に定めもないのに、なぜかほとんどの人が「ニックネーム」で名乗ってます。これはタイ独自の習慣、文化ということになりそうですね。
ニックネームの由来
最初の方で見たように、このニックネームは親が名付けることが多いようですが(妻のニックネームも親に付けてもらってますが)、どんな由来で付けるかというと...
- 1)名前を短縮する(例:「キボン」→「ボン」、「ラワニー」→「ニー」)
- 2)本名と関係ないものを付ける(好きな俳優、漫画、映画、食べ物、動物など)
- 3)親の名前に由来する(例:父親の名前が「ポパン」(Popan)→子供の名前が「プロイ」(Ploy)、「ピム」(Pim)など、Pを引き継ぐみたいな
- 4)親の好みや願いに由来する:好きな有名人の名前を付けたりスポーツにちなんだ名前を付けたり。(例:テニス、ゴルフ、ベンツ、ポルシェなどなど)
妻の場合、3人兄弟ですが3のパターンで、親の名前の先頭の文字から全て付けられているようです。
(例えば親が「カイ」(Kai)なら、子供たちは「K」を引き継ぎ「カール」(Karl)とか「ケイト」(Kate)などですね)
更に兄弟の子供にもそれが引き継がれてたりします。(つまり子供から見れば、自分の親、更に祖父から同じような形でニックネームが付けられてるってことですね)
また実は自分のニックネームを気に入らず、自分で変えちゃう人もいるようです。(ご両親、かわいそす...)これは特に大学への入学や会社に入社などの、人生の大きなタイミングで新しいニックネームを使い始める、ということのようですね。
変えるには「この方が覚えやすい」として変えたり、中には正式な名前とニックネームを同じにするひともいるのだとか。(その方が混乱しないので良いは良いと思いますけど)
ニックネームで識別がしやすい
ここまで見てきたように、タイではフルネームが被ることは基本ありませんが、ニックネームが被ることはよくあります。(何も決まりはないですからね)
ニックネームを日常的に使うとうことで、同じニックネームの人が周りにいたら困る、ということも来ますが、そうした場合、特徴を加えて区別することが一般的。
例えば「プー」というニックネームの人が3人いたとすると...
- 「小さいプーちゃん」→ 小プー(プーレック)
- 「背の高いプーちゃん」→ 大プー(プーヤイ)
- 「元気なプーちゃん」→ 元気プー(プーファイ)
こうすることでどの「プー」さんか、呼び名で分かるようにしてます。
妻の親戚にも同じニックネームの方が3人いて、上の例をそのまま使うと、本人には「プー」と呼びかけ、その本人について他の人が話す場合には「プーレックがどうしたこうした」「プーヤイがどうのこうの」と区別する、みたいな感じ。
ニックネームは本名とは全然別に考えられ、日本のように名字をもじったあだ名ではなく、「アイス」とか上で見た「プー」など、響きの良いものが選ばれることも多いようですね。
(「プー」というニックネームは「蟹(カニ)」の意味の「プー」が多いと思います。蟹が小さくて丸っこいことから、可愛らしさをイメージして名付けるみたいな感じでしょうし、タイでは「水」は「豊かさや生命の象徴」だったりして、縁起のよさ、響きの可愛らしさなどからそう名付けた、というのは考えられそうですね。)
最後に
改めて見てみると、タイ人の名前、凄く興味深いですよね。
ここに出てきたように、基本的にみんな「ニックネーム」で呼び合ってるので、私は妻しか本名を知りません。
タイではfacebookを使ってる人も多く、わたしはもう何年も前からほったらかしになってますが、知り合いが投稿するとメール通知で「誰々が投稿したぞ!」みたいなものが来ますよね。
でも妻の家族か親戚の誰かが投稿した時は、本名で登録してあったりして本名知らないので「誰だろ、これ?」みたいな感じになってるのはここだけのお話し(笑)
タイ人の知り合いが出来たら、ニックネームの由来を聞いてみると、面白い話が聞けるかもしれませんね。
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