タイの伝統的な結婚式とは? 費用や儀式を詳しく解説

タイで行われる結婚式は日本とかなり異なり、仏式であることが多いと思います。

私も随分前にタイで結婚式を挙げ、予備知識が全くなかったのでお坊様たちが沢山来たことに驚いた記憶がありますが、それが普通だったんですね。^-^;)

今回はタイの田舎の方に招かれ、久しぶりに結婚式を見ましたので、その様子をご紹介。

タイの結婚式の流れとパレードの意味

特別な結婚式に招待されて

結婚式は結婚式でも、都会で見かける結婚式とは違い、今回はタイ北東部の古き伝統を色濃く残す田舎の結婚式。

その結婚式に招待されたわけですが、タイの田舎に住んでいないと中々お目にする機会がないような伝統的な儀式とも言えるもの。この結婚式は、地域ごとの伝統が融合した本物のタイ式ウェディングとなるのでしょう。

結婚するのは、仲の良い若いカップル。

結婚式では北東部の伝統楽器が響き渡り、式に参加する人たちのために沢山の食事も用意されます。

結婚式にパレードを行う?

この結婚式では、特に注目すべきものの一つが出始めの「パレード」。このパレードでは結婚式に参加する人全員で村の通りを歩きます。

村の通りを「全員が歩く」というのがポイントで、これにより「この女性は結婚するので、もう独身ではないよ」と村の人たちに知らせるんですね。

つまり花嫁はすでに夫が決まっていて、他の人はもうプロポーズしないでね、というアナウンス。言い換えると、このパレードは、結婚するカップルが村の中で正式に認められる場、ということになります。

パレードが進むと、次の儀式は「シンソット」(สินสอด:結納金)」。

この儀式では、花嫁の家族に支払われる持参金の金額が決まるので、タイの結婚式には欠かせない儀式にもなりますが、新郎にとっては凄く緊張する一瞬にもなるでしょう。

持参金(シンソット)と結婚資金の仕組み

結婚持参金(シンソット)の意味と相場

今回結婚するのは、20代半ばのカップル。

馴れ初めを聞いてみると、どうやら学校で出会い、恋に落ち、そして結婚へ、となったようですが、新郎はバンコクで仕事をしながら結納金を貯め、そしてお嫁さんとなる彼女の両親に渡します。

この持参金(シンソット)は、新郎が「自分は妻を養う力がある」という証明。

親が受け取ることもあれば、カップルが新生活のために使う場合もあり、状況によっては親が全額を返すこともあるようです。

※)親が全額返す場合とは、結婚を認めん!みたいなものではなく、新郎新婦の生活を支援したいとか、あくまで儀式なので新郎新婦に経済的な負担を駆けたくない、というような場合ですね。

タイの結婚式における持参金の額は、新郎の家庭や地域によって異なります。

今回のケースでは、持参金は約40万バーツ(約160万円)だったようですが、地元の人にとってはかなりの大金。(日本円の感覚で言えば、300万円~500万円ぐらいかな...?)

持参金の一般的な相場は10万〜20万バーツ(約40万〜80万円)とも言われ、中には1000万バーツ(約4000万円)を超えるケースもあるのだとか。

特に裕福な家庭では持参金の額も高額になりがちで、例えばある億万長者のケースでは、持参金として何百万バーツ(数千万円)を支払ったという話もあります。

ちなみに私の場合はどうだったかと言えば、持参金というのは妻には言われてなく、そうしたものがタイの結婚式にあるというのを今回初めて知りました。

ただ結婚式を挙げる前の日だったか、妻に言われて金のネックレスみたいなものを買いに行き(5万円か10万円ぐらいしたかな。うろ覚え)、それを妻のご両親に渡してます。(そうしたものが習慣だ、みたいなことを言われた記憶はある)

義父に渡すと「(このネックレス)綺麗だね」とにこやかに言われたのを今でも覚えてます。

持参金はタイの伝統的な習慣でですが、
必ずしもすべての結婚で必要なわけではないようです。

(私の場合、そもそも知りませんでしたし ^-^;))

花嫁の家族が「持参金は不要」と言えば、支払わなくても良く、新郎新婦と家族との話し合いによって決まるのだとか。

たくさんの門をクリアせよ!

そしてパレードの最後には新郎を支える人々が集まり、そして村の人々全員が新郎新婦と一緒に踊るのが恒例。

軽トラみたいな車にでっかいスピーカー(直径が多分60cmとか70cmぐらいはある)が4つほども並び、大きな音で音楽が鳴り響き、村中に結婚式の知らせが広がります。そしてついに新郎が登場!

新郎は赤というか紺色のスーツを着ていて、
お供の人がタイの伝統的な傘(これも赤色)を掲げ、次の儀式へと進みます。

次の儀式は「プラトゥー・ンガン・プラトゥー・トーン」(ประตูเงินประตูทอง)。日本語で言えば「「銀の門、金の門」。

この儀式で新郎が花嫁の家に入りますが、簡単には入れません。

花嫁側では人が両側に立って通路を作り、さらにそれら各々の人は対面の人とひもを手に持ち、通せんぼする形で沢山の門を作ります。

新郎はその1つ1つの門をクリアしていかなければ花嫁の家に入れないわけですが、その門をクリアするためにはお金を渡したり(お小遣いみたいなもの)、「愛している!」と叫んだりして、門を作る人々を説得する必要があるんですね。

(結婚式にも新郎にはこうした試練が待ち受けている(笑))

想像しても分かるように、この儀式は花嫁の家族が新郎の決意や誠意を確かめるためのものであり、村人たちにとっても、とても楽しいイベントになります。

そしてやっとのこと家の前にたどり着くと、
次は「ラーン・タオ・チャオバーオ」(ล้างเท้าเจ้าบ่าว)という儀式。

日本語で言えば「足を洗う儀式」となりますが、バナナの葉と石の上に立つ新郎の足を、花嫁が身をかがめて洗います。これは新郎を敬う気持ちを表すタイの伝統的な儀式のようですね。

同時に持参金を支払うことで、新郎が経済的に花嫁を支える力があることを示します。この足を洗う儀式は、新郎を正式に花嫁の家族の一員として迎え入れる意味も持ってるようです。

タイの結婚式の資金はどうやって集める?

今回は田舎で行われる結婚式ですが、多くの人が集まり、食事も振る舞うなどもあり、かなり盛大に見えます。

資金はどれだけかかるんだろう、という感じもしますが、実はタイの結婚式では、参加者が結婚式の費用を一部負担する仕組みになっています。

日本でも結婚式にご祝儀を送ると思いますが、それと同じですね。

タイの場合、ゲストは、それぞれの経済状況に応じてお祝い金を渡します。

  • 200バーツ(約800円)を出す人
  • 400バーツ(約1600円)を出す人
  • 私たち:1500バーツ(約6000円)

このように、金額は人それぞれ。

金額が多いほど良い席が用意されることが多く、実は私たちは新郎新婦の近くのテーブルに座り、後で知りましたが、少し特別な料理が出されたようです。

結婚式では地元の楽器を使った伝統音楽が演奏され、これらの楽器はすべて手作り。昔ながらのタイの民俗音楽を奏でます。

※)演奏者たち、結婚式のために練習を重ね、更に結婚式だけでなく、葬儀など、その他の特別な行事でも演奏をするようですねタイの寺院にお参りに行くと、大きなところでは楽器の練習風景を見かけることがありますが、それと同じなのでしょう。

結婚式の伝統的な儀式と祝福

花輪と祝福の儀式

タイの結婚式では、新郎新婦の両親から「花輪」が贈られます。
これは、新郎新婦への祝福を表すもの。

また式の司会者からは「儀式用のスカーフ」が贈られます。
これは、新郎新婦が正式に結婚の儀式を終えた証として、聖水がかけられる際に使われます。

司会者が新郎の額に特別な印を描きますが(ポチっとしたマークみたいなもの)、この印には「夫婦に繁栄と幸運をもたらす」という願いが込められてるのだとか。

(私もしてもらいましたが、意味まで知らなかった(笑))

また新郎新婦の額には白い紐が巻かれ、これは「夫婦の絆」を象徴するもの。二人がこれからも強く結ばれることを願う意味があるのだとか。

今回の結婚式には村の人々がたくさん参加してますが、タイの田舎のコミュニティは結びつきが非常に強く、結婚式を通して新郎新婦が正式に「村の一員」として認められるんですね。

村人たちの中には親戚同士の方も多いようですが、血縁に関わらず、村全体が1つの大きな家族のようなもの。

村で誰かが亡くなれば、みんなでお金を出し合い、残された家族を支援します。政府の補助や保険制度に頼らず、コミュニティ全体で助け合うといったタイの伝統が今なお生きてるってところですね。

結婚式で投げる「米」と祝福の議

日本やアメリカでは、結婚式で紙吹雪を投げることがありますよね。

タイの田舎では紙吹雪の代わりに「米・ゴマ・緑豆」を投げたりします。

これらには「豊かさ」や「繁栄」の願いが込められていて、新郎新婦が、食べ物に困らず豊かな家庭を築けるようにという意味が込められてます。

※)緑豆とはマメ科の植物で日本では「青小豆」「八重生」とも呼ばれるもの。(もやしの原料となってるようですね)

またタイの結婚式では「ロットナームサン(รดน้ำสัง)」、日本語にすると「祝福の儀式」も行われます。結婚式に参加した人たちが1人1人新郎新婦の手に水(聖水)を注ぎ、祝福の言葉をかけます。

新築祝いや赤ちゃんの誕生祝い、ソンクラーン(水かけ祭り)でも行われる伝統的なタイの儀式ですね。

※)私の場合、当時タイ語は「こんにちは」ぐらいしか言えず、それでも前日までに何度もお礼の言葉(ありがとう)は言えるように繰り返し練習してました。で、確か義母の時だったと思いますが、手に水をかけてくれて「幸せにね」みたいな言葉をかけてくれた時、ここぞとばかりに「ありがとう」と言おうとして出た言葉が「こんにちは」(サワディー クラップ)。

横で妻の笑う声が聞こえたような聞こえなかったような...

ちなみに儀式では、新郎新婦の手首に白いロープが巻かれ、ロープの上には紙幣が貼り付けられたりします。(私の時には紙幣の貼り付けはありませんでしたが)

これは「富と繁栄」を願う象徴的なもの。新郎新婦とその家族が、豊かで幸せな人生を送れるように、
村の人々が心を込めて祝福するんですね。

最後に

結婚式が終わったら、あとはまた食事会みたいなものが続きますが、今回改めて結婚式に参加してみて、タイの伝統文化や村の温かいコミュニティの素晴らしさを感じました。

もしタイで誰かの結婚式に誘われたら、是非参加してみてください。

明らかに日本で行われる結婚式とは異なるので、色々な発見があると思いますよ!

コメント