エネルギーの地産地消がもたらすマルチベネフィット

  1. 7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  2. 8.働きがいも経済成長も
  3. 9.産業と技術革新の基盤をつくろう
  4. 13.気候変動に具体的な対策を

 公害克服の経験を生かし、世界の環境首都を目指したまちづくりを行っている北九州市は、災害が広域に及んだ東日本大震災以降、安定・安価なエネルギー供給に取組む「北九州市地域エネルギー拠点化推進事業」を新成長戦略の主要プロジェクトとして立ち上げました。
 国際環境工学部の松本亨教授は同プロジェクトの一端を担い、マルチベネフィットの視点による地域エネルギー政策の評価や将来推計等の研究を行っています。マルチベネフィットとは、複数の社会課題の同時解決のことであり、SDGsターゲットに対して統合的なアプローチを行う事で複数ターゲットの同時達成につなげるという意味で注目されています。
 松本教授が携わる一例として、「廃棄物発電のネットワーク化、小売事業化」があります。市内に3カ所ある清掃工場のごみ燃焼による廃棄物発電をネットワーク化し、仕組みを変え、地域電力会社(自治体新電力)から地域の公共施設等へ電力供給することで、電力会社(旧一般電気事業者)からの買電量削減の他、コストカットとCO2削減効果をもたらしました。
 市内では、他に風力をはじめ様々な手法で発電を行っており、北九州市のエネルギー地産地消率は、他都市よりも高い状態にあります。こうした地域資源の活用は、環境対策や経済効果だけでなく、雇用創出などの効果も期待されるため、マルチベネフィットの評価や手法の開発はSDGs達成の重要な指標といえます。

土谷 芽衣/地域創生学群 3年
吉武 あゆみ/学務第一課
廃棄物発電のネットワーク化、小売事業化のしくみ
資源循環型ごみ処理施設、新門司工場のしくみ
北九州市地域エネルギーマネジメントの概要とエネルギー産業拠点である若松区響灘地区