【司法書士試験】難関「会社法」を攻略!苦手意識を克服する3つの対処法


司法書士試験の受験生にとって、大きな壁として立ちはだかるのが「会社法」。この法律は、出題数の多さや記述式の出題があるため、不動産登記法と並ぶ最重要科目といえます。

会社法を苦手だと感じている方も多いかもしれませんが、その苦手意識を克服し、得意科目にするための具体的な攻略法を徹底的に解説します。

メイン科目を攻略することは、合格の鍵を握っています。一緒に、会社法という大きな山を乗り越えましょう。

会社法を苦手な人が多い三つの理由

司法書士試験の受験生が会社法を苦手としてしまう理由について、ここでは三つお話ししていきます。

過去問が少ない

まずは過去問が少ないので、しっかりとした勉強ができないと感じるケースが多いことが挙げられます。

会社法は、基本的に平成十八年度以降の過去問しか使えません。今の会社法が制定されたのが平成十七年で、出題範囲になったのが平成十八年度からになります。それまでは商法という法律の中で株式会社などについて規定をしていたため、平成十七年までの商法と平成十八年以降の会社法では、かなりルールが違います。

結構大きな改正があったので、前の論点が今の論点にならなくなったり、無理やり過去問を予備校が変えているものの、ポイントが全然違ったりといった問題が多くなるんです。そのため、基本的に使えるのが平成十八年度以降ということになります。

実は、平成十七年度以前の過去問でも使えるものはありますが、これを受験生の方がご自身で判断するのは非常に難しいです。論点がずれているとか、ポイントがずれているというのを把握しているのは、かなり勉強してこの試験を研究した人しかわからないため、正直、講師に「これ使えますか」とか一つ一つ聞いていくしかないというのが現状です。

私が参加している講座では、基本的に平成十八年度以降の会社法の過去問を解いていただくんですが、実は平成十七年度以前でも指定する過去問があります。それは全て私が選んでおり、この過去問だったら五肢中四肢は今の試験でも使えるような選択肢なので解いてもらおう、ということをしています。

これ、実は結構役に立つ年度がありまして、最新の令和五年度はすごく役に立ったんですけれども、令和五年度だと平成十八年度以降の過去問だけだと正解できる問題数がかなり少なくなってしまうんです。ところが、平成十七年度以前の過去問で私が指定したもの、そこまで解いていると、非常に正解できる問題数が上がった、そういう年度になります。

令和五年度はちょっと極端ですが、平成十七年度以前の過去問でも役に立つものがあるんです。しかし、これは先ほど申し上げました通り、プロが選定しないと自分で選定できるものではないので、なかなか受験生の方がご自身で平成十七年度以前の過去問を解いていくのは難しいということになります。

そうすると、平成十八年度以降、まだ二十年にも満たないので、どうしても本試験の論点、本試験の知識を網羅することができないんです。今年度もそうでした。平成十八年度以降の過去問だけだと、どうしても正解できる問題数が少なくなってしまう、こういう問題点があると思ってください。

量が多い

二つ目の理由が「テキストや覚える知識」の「量が非常に多い」ということです。

会社法に関するテキストを眺めてみると、だいたい七百ページほどで、五百ページを切るというのはほとんどないでしょう。五百ページを切るとなると、「どうしてそうなのか」といった理由説明をごっそりカットしたり、必要な知識もカットしないといけない、それぐらいのページ数になってしまいます。

そうした理由から五百ページは超えてきますし、十分な知識量、まず合格できるというくらいの知識量を提供した上で、そして理由付けとかもきちんと提供する、そうなると、どうしても七百ページとかになってしまうんですね。私のテキストの場合は商業登記法も合わせているので千百ページを超えてくるということになります。

千百ページ超えと聞くと、相当な分量だなと思いますよね。本当に相当な分量です。一般的なハードカバーの小説が300~400ページ程度なので、小説2冊分のボリュームを1科目で扱うみたいなイメージかも知れません。

ちなみに、内容面でも結構量が多いと言えまして、例えば不動産登記法と比較すると、不動産登記法ってページ数に対して記憶するべき事項は実はそんなに多くないんです。

「判断基準」(基本ルール)というのが結構使えるからです。例えば、登記識別情報を提供するかどうかという点が、本当にテキストの至るところで何十回も出てくるんですけれども、実はある基準、基本的な基準として、「共同申請と合同申請だと登記識別情報を提供」し、「単独申請だと提供しない」、そういう基準になります。

それを押さえておけば、これ各ページで登記識別情報を提供するかしないかとか出てきても、そのページごとに記憶しなくていいのです。

会社法や商業登記法でもそういう要素がないわけではないんですけれども、不動産登記法と比べるとかなり少なくなってしまいます。

つまり、会社法や商業登記法は基本的にページごとにしっかりと記憶していかないといけない、つまりページの数だけ記憶するべき事項が増えてくる、そういう科目になるんです。なので、このページ数がイコール記憶する量に比例してきますので、結構大変だと思ってください。

イメージが湧きにくい

三つ目がイメージが湧きにくいという理由になります。

会社法はイメージが湧きにくいという方が多いです。株式投資をしている、あるいは中小企業を経営している、経営してなくてもベンチャー企業の最初の頃に入って会社が成長していく過程を見た、そういう経験がある方だったら会社法ってすごくイメージが湧くんです。

しかし、そういう経験があるという方はそんなに多くないですよね。株式投資をしている方がまだ多いのではないかと思います。

そういったことをしていないと、会社法って正直、会社に勤めていてもあまり関係ないんです。労働者の方に適用される法律というのは労働基準法とか労働契約法であって、会社法って基本的に経営者の話なんですね。

会社をどうやって作るのか、株式会社でいうと株式とは何なのか、取締役ってどういう人なのか、どういうルールを守らないといけないのか、すごく簡単にいうと会社の中で偉い人の話、上の人の話、それが会社法なんです。

なので、普通に会社に勤めているだけだと、正直、会社法についてはほとんど学ばない、ほとんど知らないで終わってしまう、そういう科目になります。

そのため、多くの方にとってあまり身近ではないので、イメージが湧きにくい、これも会社法が苦手になってしまう一つの大きな理由ということになります。

会社法を得意にするための具体的な対処法

先ほど挙げた三つの苦手の理由ごとに、得意になるための対処法をお話ししていきます。

過去問が少ないことへの対処法

過去問が少ないことへの対処法、得意になるには、次の二つになります。

演習講座を利用する

一つ目が演習講座を利用する、ということ。

どうしても過去問だけだと合格点が取れない、合格点というか基準点さえいかない、それが会社法という科目なんですね。例外的な年度もありますが、基本的には過去問だけでは合格点どころか基準点さえもいかないのが会社法ということになります。なので、過去問だけだと不十分なんです。

そこで一つ方法としてあるのが予備校の演習講座を利用するということ。過去問が手薄なので、そこをカバーするような演習講座ですね。

模試はどこの予備校にもありますし、答練も行っている予備校が多いです。そういった答練、模試だけではなくて、過去問以外の問題もいっぱい解いてみましょう、という択一の演習講座それを行っている予備校もありますので、そういう講座を利用するのが一つ手かなということになります。

テキストでアウトプットする勉強法を身につける

二つ目の方法が「テキストでアウトプットする勉強法を身につける」ということ。これは私もおすすめの勉強法ですが、テキストを問題のように使ってアウトプットしていくというやり方です。

どのテキストもきちんと合格に必要な情報は書いているはずですので、テキストのポイントを思い出すことができたら、それは会社法であっても合格点は取れるということになるんです。

なので、このテキストでアウトプットするという勉強を身につけられれば、過去問が手薄な分野についても、実は問題なく対策ができるということなんです。

ただ、この勉強法をなかなかすぐ身につけることはできません。なぜかというと、多くの受験生は、今までテキストを読むことがインプットだと習ってきたため、テキストを「問題集」として使うという発想の転換が非常に難しいからです。

これまでの受け身の学習とは違う、慣れと積極的な姿勢が必要になるため、すぐに効果を出すのが難しい側面があるんですね。「このページで何が問われるか」を意識してテキストを読み進め、覚えるべき知識を自分で問いかける練習から始めてみてください。

量が多いことへの対処法

量が多いことへの対処法「得意になるにはどうすればいいか」というと、対処法が次の二つになります。

早めに記憶する

一つ目が早めに記憶するということです。

この会社法は、どうしても理解に時間がかかるので、最初ずっと理解ばかりに時間かけてしまうという方がいます。人によっては、直前期に入るまでほとんど記憶の時間を取らないと、そうなってしまうと、直前期から記憶を始めても、正直ほとんどの人が間に合わないということになります。

なので、できる限り早く、理解だけではなくて記憶も始めてください。もちろん、理解するのが結構大変な科目なので、それには時間かかってしまうんですけれども、プラス記憶にもきちんと時間かけて欲しいんですね。

予備校の講座を受講している方だったら、講義で理解できたんだったら、もうその後の復習からできる限り早く記憶していくのです。当然忘れてしまうんですけれども、何回も何回も記憶することによって、それでやっと直前期になってある程度確かな記憶になって、本試験にギリギリ間に合うということになりますので、早めに記憶の時間を入れる、これが非常に重要かなというところです。

メリハリをつける

二つ目がメリハリをつけるということ

量が多いということは、やっぱり全部やろうとすると結構大変なんですね。千百ページぐらいのテキストを全部一気に記憶しようとすると、途中で嫌になってしまったり、ある程度進むと最初の方を忘れてしまったりということが起きてしまいます。

なので、予備校の講座を受講している方だったら、例えばCランクは最初全部飛ばすとか、そういうことをしていくのがおすすめです。また講義の中で講師が「ここは難しいので一旦飛ばしていいですよ、後で分かればいいですよ」ということがありますね。そういうところは必ず飛ばしていただく。

そういった形でCランクを飛ばすとか、後でやればいいところを飛ばして、A・Bランクとか、今絶対に押さえておかないといけない、最初に記憶しないといけない、そういうところにまず時間を使う、そういうメリハリをつけるというのが本当に重要になります。

こういう量が多い科目はメリハリこれが大事なので、生真面目な方は最初大変だと思うんですけれども、ぜひこのメリハリをつけるということをしていただければと思います。

イメージが湧きにくいことへの対処法

イメージが湧きにくいことへの対処法、どうすれば得意になるのか、それをお話ししていきたいと思います。これも二つですが、対処法はこのいずれか、あるいは両方になります。

イメージの湧く講義を利用する

一つ目がイメージの湧く講義を利用するということです。

単に会社法の説明、法律の説明をするだけではなくて、実際こういう時に使えますよ、そういう説明がされる講義ですね。例えば「中小企業って実際こういうものですよ」とか「株主総会なんて実際に招集通知とか発したりしませんよ」など、具体例を示しつつ話をするような講義。

伊藤忠商事という会社がファミリーマートという会社に対してやったこととか、話題になった大塚家具がヤマダに吸収された時に行われたこと、最初ヤマダの子会社になって、その後吸収された、など具体的に話すことによって、理解もより進みます。

このように、試験に直接出ないんですけれども、イメージや興味の湧くような、聞いたことがあるようなフレーズが出てくる講座、こういう講座があれば積極的に利用するというのが一つの手になります。

イメージの湧くテキストを利用する

また講義だけではなくて「イメージの湧くテキストを利用する」というのもオススメです。

もちろん、条文の理由付けがきちんと書いてあるというのは重要なのですが、それだけではなかなか頭に入りません。それだけではなく、例えば、会社が設立から成長していくプロセスや、株主と経営陣の間に起こりうる対立など、会社法の条文が適用されるドラマや背景がコラムとして書かれているテキストを選ぶと良いでしょう。

「実務でこんな感じで使えますよ」とか、「こういう使い方もあります」、「ニュースでこういうことありましたよね」、「実は会社法のこういう制度が関わってるんです」など、実務に近い話や、「条文の背後にある人間関係や経済活動」が描かれていることで、法律が単なる記号の羅列ではなく、「生きたルール」として感じられます。

こうしたテキストを使うと具体性が出てきて理解が進むだけでなく、知識が体系的に結びつき、結果的に丸暗記の負担を減らすことにもつながります。

まとめ

司法書士試験のメイン科目である会社法を攻略するためのポイントは以下の通りです。

  • 過去問の少なさを演習講座やテキストでのアウトプットでカバーすべし。
  • 膨大な学習量には「早めの記憶」と「メリハリ」をつけて対処すべし。
  • イメージの湧きにくい内容には、具体例の豊富な講義やテキストを利用すべし。

今回の内容で、会社法が苦手な理由と、それに対する具体的な攻略法への理解が進みましたら幸いです。テキストを問題集として使うアウトプット学習法を使ってみたり、量が多いからこそ、早く記憶を始め、最初はCランクを飛ばすなどメリハリをつけて学習することが、合格への鍵となります。

これらを参考に、ぜひ会社法を得意科目にして、合格を掴みましょう。

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