司法書士試験合格者が語る!択一問題の「解く順番」や「時間配分」について

今回のテーマとしては、司法書士試験の問題を解く順番、そして時間配分、で、それぞれの失点の許容範囲というところについて話をしていきたいと思います。

模擬試験のときから常に意識して欲しいんですけれども、これから話すのは私の経験に基づく内容です。現役の司法書士としての実務と受験経験を踏まえ、一つのやり方として参考にしてもらえたらと思います。

午前の部:時間をかけるべきではない憲法は後回し

まず司法書士試験では、午前の部と午後の部があり、午前は9時半〜11時半の2時間です(詳細は最新の試験要項をご確認ください)。科目でいうと、憲法、民法、刑法、商法っていうことで、マークシートの問題があるということですね。

午前の部のお話からですが、午前の部は択一式で35問問題が出てきます。マークシートの問題になるんですけれども、2時間時間があるので比較的余裕があると思います。

ここでいっぱいっぱいだっていう状態だと、正直言って午後の部の方が解ききれないと思いますので、午前の部は、マークミスとケアレスチェックのため見直し10〜15分を確保できる配分を目安にすると安定します。各設問の上限時間を決めて、超えたら一旦保留にします。

それぞれ科目によって問題数が変わってきます。憲法で3問、民法で20問、刑法3問、商法9問ってことで出てきますよね。

択一を解く順番の戦略

私が工夫したのが問題解く順番

午前の部は、比較的時間が余裕があるので、どこから頭に入ってもいいかなと思うんですけれども、私の場合、なるべく暗記色が強いところから先に解きたいという考え方があるんですね。

憲法は読解要素が相対的に強い傾向があります。後回しにするかは模試での処理時間と正答率を記録して判断すると良いです。

つまり、司法書士試験の中のこの憲法の問題っていうのは、憲法の知識というよりは、国語能力っていうのが問われる問題になりたってくるんじゃないかなと考えていますので、結構時間がかかるんですよ。読解力がいるというか、考えなきゃならないんです。

一番最初に憲法が出てくるわけですけれども、憲法で時間を使ってしまうと後の勢いが消えちゃうんですよね。だから私は憲法を一番後回しにしていたんですね。

具体的には商法の方から解きました。これは暗記色が強い科目になっていますね。商法の次に刑法。刑法の問題も知識さえあればすぐ取れますので、刑法を解くと、次に民法

民法は20問あって、でこれも細分化すると、総則と物件と債権で親族相続に分かれているんですよね。それぞれ問題数も総則何問、物件何問、債権何問、親族相続何問ってだいたい同じぐらいな数が出てくるかと思うんですけれども、親族相続の方が民法の中でも暗記色が強いです。

どちらかというと判例とか条文もしっかりきちっと細かく覚えているかどうかという問題になってくるので、私は民法の中のさらに後ろの方から解くんですね。

親族相続を解き、次に債権、次に物件と行って総則で本当に仕上げにするんですね。で、最後に憲法をやるという感じにしてます。

そうすると暗記色が強いところは、もう知ってるか知らないかという範囲になってきますし、問題としては唸って考えるようなことはあまりないので、勢いよくスタートできるってことがあるんです。

そういう勢いよく解いていって、で、最後に憲法で、少し推論問題なんか出てきたらじっくりと解く。で、時間が余ったら全体に見直し、午前の部は比較的時間に余裕があるので、まあ一応こんな感じで私は解いてました。

暗記色が強い科目から始めることで、直前に整理した知識をすぐ出力でき、記憶を定着させやすくなります。そういう部分もあって私は先にやったというところですね。

午前の部の目標点と失点許容範囲

午前の部の目標なんですけど、とりあえず択一式に対しては、それぞれ30問以上を目標にしていました。目標値は午前・午後とも各30問以上。 ただし結果は年度難易度によって変わるため、模試では科目別の弱点補正を優先します。

だから「30、30」を取れればいいので、まず午前の部も30問以上を目指すというところです。

30問以上を目標にするんですけれども、それでも科目によって私の失点許容範囲っていうのを設定してました。まず、その全体で5問落としていいってことじゃなくて、この科目は何問まで落としていいっていう考え方をしてました。

  • 民法は難しいです、正直。なので20問あるうち、ここは2から3問ぐらいは落としても許容範囲というふうにしていました。
  • 商法はだいたい2問。できれば1問ぐらいの失点に抑えたいんですけどね。
  • 憲法と刑法2つ合わせて1から2に抑える。

これでだいたい30点以上は取れるというような、この失点許容範囲っていうのを、私は特にその模試のときとかね、そういう時から意識努力していました。

午後の部:時間が足りなくなるから「記述先行型」で対策

午後の部も同じような感じでいきたいと思うんですけれども、午後は時間が逼迫しやすいです。記述先行型/択一先行型のどちらが合うか、模試で完答率と見直し時間を比較して検証しましょう。

時間で言うと、13時から16時の3時間あるんですけれど、記述式が択一35問に加えてあるので、ここを余裕をもって完答できる人は少数派になると思います。多くの受験生が時間配分に苦労します。

私はですね、結構、あの普段の模擬試験のときとかっていうのが解くのがすごく早い方だったんですね。特に3年目のときなんかだったら、私はほとんどS判定取ってたんです。

S判定Aランク、Sランクと、ほとんどAプレレベルぐらいの成績をずっと取って、しかも時間も結構早かったです。だいたい午後の方でも、たまにものすごく難化されるときがあったりする時は、ちょっとまあ3時間いっぱい使ってましたけど、だいたい15〜30分の余裕を目標に、模試では解答所要時間と見直し確保時間を記録し、配分と切り替えの練習を重ねました。

記述式を最初に解くメリット

そんな私の解き方というか、私の場合、午後の部は、択一が最後で、記述式が最初

ほとんどの方がまず択一解いて、で、記述式の方に取り組むと思うんですけど、私は記述先行型なんですね。たまにいるんですけど、記述を先に解き始めるっていう人ですね。

私は3回受験し、3年目に合格しましたが、1年目から一貫して記述先行型で取り組みました。というのも、択一を解いた後に記述を解くと、その年の試験の難易度によって、どんな問題が出てくるか全くわからない記述に不安を感じながら進めることになるからです。

私はとにかく、一番厄介な記述式を先に終わらせたかったんですね。ですから、まず記述式を解くという「ゲーム」をやっていました。具体的には、不動産登記と商業登記の記述式を、不動産登記法(不登法)を解いてから商業登記法を解く、という流れで進めていたわけです。

午後の部の時間配分

記述はですね、いつもよりもだらだらだらだら検討していると、択一を解く時間が無くなっちゃうので、記述式やるにあたっては、私は時間を決めてました。

不動産登記と商業登記を一問1時間までっていう風に設定してたんです。だから、ここで終わらなければもう強制的に終了して次にいった感じです。具体的には、

  • 不動産登記:13時試験スタートで14時まで取り組みます。14時の時点で解ききれてなかったらもうここで強制終了して次に商業登記を解いていきます。
  • 商業登記:14時から15時まで、同じ1時間ですね。きっちりと解くと。ここまで終わらなかったら強制終了します。
  • 択一式:15時から16時にシフトします。この1時間内で択一を解いていくんですね。

択一は、私の場合、解くスピードが比較的速いので、午後の部は特に、肢が5つあっても全部は検討しませんでした。択一は私も1問60〜75秒を上限にし、根拠が2つ以上そろえば次へ進む、曖昧ならマーク+後回し、という手順に統一しています。

そうやって解いて、だいたい30分で、遅くても45分以内には解き切る感じでしたね。

択一だから15時スタートの、まあ15時45分までには解きますので、45分間で解いたと。十分余るので、残りの15分でもし記述式が書けてない部分があったらそこに行ったりとか、もしもそれぞれ記述がもう全部書けてるんだったら、見直し、択一含めて全体の見直しに使うというような感じでやってました。

択一を解くスピードが自信があれば、記述式じっくりと1時間ずつ検討できる余力ができますので、まあこのあたりをやっていくんじゃないかなという感じですね。私自身は先にやった方が後で楽に感じましたが、記述に時間がかかる方は逆順も検討してみてください。

午後の択一に関しては、暗記色が強いので、頭から順番に解いていくのがいいかなと思います。

午後の部の目標点と失点許容範囲

午後の失点許容範囲は、私も同じく30問以上を目標にしているんですけれども、

  • 不動産登記法2問
  • 商業登記法1問
  • 民事訴訟法から民事保全法まで全部合わせて1、2問ぐらい。

その他、司法書士法とかも全部落とさずに取ったとして、これでまあ一応最低5問まで落とすというところで、私は特に初年度から3年目まで通して、午後の択一を30問以下にしたことがないです。

全部30問以上、初年度から取れてますので、私は択一の処理速度を得意分野にできたのですが、これは模試で時間記録と検証を繰り返した結果だと思います。

まとめ

  • 司法書士試験の択一は、暗記色の強い科目(商法、刑法、親族相続)から解き、推論が必要な科目(憲法)を後回しにする戦略が効率的。
  • 択一の目標は午前・午後ともに30問以上とし、難易度の高い民法では2〜3問、憲法・刑法では合わせて1〜2問など、科目ごとに失点許容範囲を設定して取り組むべき。
  • 午後の部(3時間)は時間が足りなくなるため、記述式を先に解き(記述先行型)、1問あたり1時間など時間を厳格に区切ることで、択一を解く時間を確保する。
  • 記述式を先に片付け、残りの時間(1時間程度)で択一を解き、最後に記述と択一の見直しに時間を使うのが合理的。

合格者の方というのは、午前だったらこの科目何本出て、午後だったらこの科目何本出て、それぞれこういう順番で出てきて、これぐらいの点数でこれぐらいの失点許容範囲だよっていうのは、頭の中に必ず入っているんですね。

この意識を早い段階で持てるかどうかが、合格に大きく影響します。まだ意識できていない方も、模試や演習で少しずつ習慣化すれば大丈夫です。だから、自分の中で解き方であるとか型というのを徹底的に見つけてみてください。それが合格への近見日になると思います。

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