年齢は関係ない?40代50代で司法書士として就職するための現実的な方法

司法書士を目指し勉強している方の中で、「もし50歳を過ぎて合格しても、本当に雇用してもらえるのだろうか」と、就職について不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事は、そんな受験生の方から寄せられた質問への回答として、50歳以上で司法書士試験に合格した後、実際に就職ができるのかどうかについて、現役の司法書士がデータや経験に基づき具体的に解説しています。

司法書士の平均年齢や合格者の現状、そして都市部と地方での就職先の傾向や具体的な探し方、さらには経験を積むための働き方の選択肢までを知るきっかけになりましたら幸いです。

50歳以上でも司法書士試験合格後に就職は可能か?

今回は50歳以上でも司法書士試験合格後に就職できるかについてお話をしていきたいと思うのですが、結構この質問をいただくことがあります。

先日も、50歳過ぎていて今まだ受験生という方からのご質問があり、これから司法書士試験合格をしても、果たして合格した後にちゃんと就職できるのか心配だということです。これについて私の初見をご紹介します。

司法書士試験の最終結果データと平均年齢

では、まず早速なのですが、昨年度の司法書士試験の最終結果のデータからちょっと見ていきたいと思います。

まず、昨年度の司法書士試験の受験者数なのですが、13,960人受験しております。このうち合格者が737人。

内訳としては、男性が約67.2%、女性が約32.8%ということで、ざっと7対3に近い割合で男性の方が少し多いということですね。

合格平均年齢は40歳を超えているというような状況で、合格者の中の最低年齢は19歳。最高年齢はなんと82歳。素晴らしい。82歳で合格したということですね。

この平均年齢としては40.65歳ということなので、ざっとこの合格者の半分ぐらいが40歳を超えているということになってくるということになりますね。

ご質問いただいた方も50歳オーバーということで、ある程度40歳、50歳となった時に合格したとしても就職先に困るのではないかと心配されてる方というのは、この方以外にも今受験生の方とか、これから別の業界から司法書士試験ちょっと目指してみようかなんて思われる方も関心があるのではないかと思います。

僕の回答としては、まず都市部だと比較的就職先があると思います。ただし、やはり大手の決済業務を中心とする事務所が中心になるのではないかなと考えられます。

就職先の傾向:決済業務を中心とする事務所が中心

どういうことかというと、大きく司法書士事務所を分けた時に、都市部の大手の、いわゆる決済業務が中心の事務所と、あとは中小規模の割と総合的なことをやっている事務所があります。また、まだちょっと珍しいところとしては商業登記専門とか、成年後見だけやってる方というのもいるのですが、ほとんどが、大手の、あるいは中小規模の割といろんな業務をやってる事務所が、ってところが多いと思うんです。

大手の決済業務を中心とする事務所がなぜ就職先の中心になるかということなのですが、決済業務を中心とする事務所というのは、司法書士の頭数がどうしても必要なんですよ。立会い業務において司法書士の資格がないとできませんので、大手の事務所では決済数が相当多いんですね。

そういう中で、やはり司法書士の頭数がどうしても欲しいというところになるので、年齢が高くても立会いをお願いできるのであれば、就職可能、求人募集をしているパターンが多いです。

割とこの都市部の方とかでも見ていたら、新人の割と年齢のいっている方が就職しているパターンでも多いですね。

なので、大手の決済業務を中心とする事務所であれば、結構就職としてはそんなに難しくはないというか、他に比べると難しくなく就職できるのではないかと思います。

それに対して中小規模の割と総合的なことをやってる事務所というのは、そもそも求人募集というのがそんなに多くもないっていうところと、やはりその頭数がどうしても必要ということではないのですね。

そういったところで、やはりこの募集の中で選考の際に、年齢が結構若い人と、年齢がそこそこいってる人がぶつかった場合には、ただ年齢だけ(他のスペックは無視ですよ)でちょっと比較させてしまうと、やはりちょっと年齢がある程度若い方が有利になりやすい傾向にはなるかと思います。ちょっとそこでは不利になってしまうのではないかという感じを持ってます。

というところで、大手の決済業務を中心とする事務所がやはりこう年齢が比較的行ってしまった場合の就職先としては、こちらが中心になってくるのではないかなと考えられます。

おすすめの就職先の探し方

そうは言っても就職先というのはいろいろ探し方っていうのがあるんですけれども、一応おすすめの探し方というのを2つ紹介させていただきます。

1つ目は各司法書士会が設けている求人ページですね。

これ「〇〇司法書士会 求人」とかで検索してもらったら出てくるんですけれども、それで見てもらうというパターン、これが一番公式のやり方かなと思うんですけれども、割とその文字情報しかなかったりして、ちょっと中身が分かりづらいってこともあると思います。

もう1つおすすめとしては「司法書士JOBサーチ」っていうやつですね。このサイト結構いいです。これを見てください。

エージェントを通さずに、直接事務所の方とやり取りができるっていうところで、私自身も、こうした探し方があるよとお話する機会も多いです。

結構全国各地のかなり多くの事務所が事務スタッフの募集に掲載されていますので、ここを見てください。

このサイトのいいところは、結構これから募集するなど質問とかできたりするページが公開されたりというところがあるので、結構そういうところで心配事があれば、それ以下聞いてみてもいいと思います。「年齢高いけど大丈夫ですか」っていうところから聞いてみてもいいと思います。これで探してください。

希望の就職先が無事見つかったら、面接をしてマッチングすれば無事OKということになるんですけど、やはりその繰り返しになるのですが、年齢が高いと割と大きな決済業務を中心とする事務所が中心になるというところは、やはり少し寂しい事実かもしれないのですけれども、どこでもかしこでも選べるような状況ではないというふうには考えてもらった方がいいかと私は思います。

即時独立はおすすめできない理由

では、「どうすればいいだろうか」というふうに思われる方もいると思います。独立する、という考えも浮かぶと思いますが、即時独立は、やはりおすすめしません。

なぜなら、自分の身を守るっていう意味でも、やはり司法書士の仕事って責任すごく重いので、一回ミスをすると即退場って可能性もありえます。せっかく合格したのに、なにか実務経験が浅いために失敗してしまい、それが原因で退場してしまうようなそういうことになってしまうと、もう非常に残念としか言いようがありません。

こうしたリスクを回避するうえでも、試験とは別に、まず実務は実務の勉強として、少しでもいいから経験を積んだ方がいいと思います。

というところで、即時独立をやられてる方ってもちろんいるので、できないことはないんですけれども、ご自身の安全面というところと、あとやはり何よりお客様に迷惑をかけないというところを考えるのであれば、まずは独立より事務所で多少でも経験を積むことを考えるのがおすすめです。

決済業務を中心とする事務所での経験の積み方

経験という視点からお話すると、年齢がある程度高い場合、大手の決済業務を中心とする事務所が就職先の中心になることも多いですが、「就職できたとして、では、決済業務を中心とする事務所で経験は積めるのか」が次の疑問になると思います。

決済業務を中心とする事務所というのは、決済の立会いメインの事務所なので、そればかりやらされて何の経験にもならないのではないかというふうに思われるかもしれません。

でも、実は私も決済業務を中心とする事務所出身で、そこしか就業してないんです。一社だけで、その後に独立してるんでそこしか知りません。

でも、決済業務を中心とする事務所でも本当に純粋に決済だけやってるわけではなくて、決算の前提となる相続登記があったりも勿論あるわけです。

決済の案件をご紹介いただけるのは不動産会社さんというか、企業の方ですが、そういったところの登記をお願いされたりということもあるので、商業登記も相続登記、他にもいろいろな業務があるわけです。後見などもあり、そういうのは全く関係ない、本当に決済しかないっていうパターンではありません。

メインは決済にはなりますが、他にもいろいろやってる、ということになりますね。だからそうした事務所でも経験が積める可能性はある、とうことになります。

事務所と言ってもいろいろありますので、仮に就職後、実際実務をやる段になり、立会いしかやらせてくれない、とか、資格の名前だけ欲しいような事務所、立会いの時でも立会要員として1人司法書士を置いておくだけ、みたいな状態でしたら、残念です他の事務所を探したほうが良いと思います。何の経験にもならないですからね。

ただ、そのアンテナの張り方で自分の経験値ってすごく変わるんですよ。普通に決済業務を中心とする事務所で、私はメインの書類を作る係でした。でも独立したいと思ったアンテナ張っていたので、外部との渉外関係など段取りをしている人とか、周りが何をしてるかのイメージを浮かべながら話を聞いたり、仕事しながらこう耳で何してるかって聞いてました。

仕事全体の流れを理解するためですが、そうした全体の流れを見た中で、自分がここに位置していて、この仕事はこういう風に流れていくとかっていうが段々とイメージできるんですね。

これって仕事の基本だと思うんですが、だから決済の仕事って言っても決済の業務だけに目を向けるのではなく、決済は全体の段取りが命なので、段取りがどうなっていて仕事がどう流れているのかを常に意識し理解する。こうした事ができれば他の仕事も同じようにできると思って仕事してました。

まずゴールがあり、そこに到達するために中タスク、小タスクがあって、それらをクリアし最終的にゴール、目的地に期限までに持っていく。それをしっかり普段の仕事からイメージしていけば、決済業務を中心とする事務所で決済業務ばかりとはいえど、仕事のやり方、進め方など、司法書士としての基本中の基本を学べると思います。

あまり今まで就職したことがないって方だとしても、仕事のやり方って基本的には一緒になるので、そういったところを学べるのではないかと思います。

独立志望であればアルバイトという選択肢も

あし将来的に就職、ずっとサラリーマンでやるつもりはないと、独立志望だって言うのだったら、割り切ってアルバイトでもいいのではないかなというふうに思います。

雇用側としても、やはり正社員を雇うよりアルバイトを雇った方がハードルって低いんですよね。

正社員としては、大手の決済業務を中心とする事務所がメイン(年齢がいってる場合だったらそこがメイン)の就職先になる可能性が高いと思いますが、アルバイトっていうことであれば、中小規模とかの割と総合的なことやってる事務所も「アルバイトで来てくれる」ということであればぜひ欲しいっていうパターンも多いと思います。

こうなると選択肢はすごく広がると思うので、修行、経験を積む、という風に考える場合には、ある程度期間を決めて、アルバイトっていうところで考えても良いと思います。

ただ、安定感とか、お給料の面でアルバイトだとだいぶ不利になってしまいますね。社会保険とかっていうのも場合によってはなかったりする可能性がありますから。

その分は不利になるんですけれども、独立までの経験を積む、と割り切ってというのでしたら、そういう形もある、ということを知っておくだけでも選択肢が広がると思います。

まとめ

  • 昨年度の司法書士試験合格者の平均年齢は40歳を超え、合格者の中には82歳の方もいる
  • 50代からでも都市部であれば就職は可能、大手の決済業務を中心とする事務所が中心となる傾向
  • 大手の事務所は資格者の頭数が必要なため、年齢に関係なく就職できる可能性が高い
  • 即時独立は責任が重く、自分の安全面やお客様への迷惑を考えるとおすすめできない
  • 独立志望であれば、中小規模の事務所などでアルバイトとして経験を積む選択肢もある

不安に感じていた方もいるかと思いますが、試験の合格者のデータからも分かるように、年齢を重ねてからでも司法書士として活躍することは十分に可能だということが分かってただけましたら幸いです。

焦らず、まずは合格を目指して勉強に集中し、その後の就職は都市部の決済業務を中心とする事務所やアルバイトという形で着実に実務経験を積むのがいいと思います。

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