専門職で独立開業!夢と現実のギャップを埋めるための5つの鉄則

司法書士として独立して、自分の事務所を構えることは、私自身がそうだったように、大きな目標であり夢ですよね。エンジニアを辞め、結婚後の限られた時間で勉強を続けた私にとって、合格、そして独立はまさに人生をかけた挑戦でした。

自分の裁量で自由に仕事ができる、頑張りがそのまま収入につながる、そんな期待を胸に開業に踏み切る方も多いと思います。

ですが、実際に独立後の現実を見てみると、想像していた「自由」とは少し違う部分も多く、厳しさに直面することもあります。

この記事では、私自身の経験も含めて、司法書士の資格を取得し、独立する前に「これを知っておきたかった!」と感じたリアルな現実を5つのポイントに絞ってお伝えします。教科書には載っていない、開業後の動きをガラリと変えるかもしれない重要な情報なので、ぜひ最後まで読んでみてください。

開業当初は専門性よりも信用力が問われる

「独立したら、もう誰にも縛られず自由だし、売上も自分次第で、きっとうまくいくはず!」って、私自身もそう思っていました。

でも、実際に開業してみると、現実は想像以上に自由ではないんですよ。だいぶ厳しめに聞こえるかもしれませんが、今日は司法書士の現実、夢を見ている方も多いかもしれないので、ここは現実をしっかりとお伝えしようと思っています。

1つ目、開業当初は専門性よりも信用力が問われる、ということ。

司法書士としての経験がどれだけあって、たくさんの知識があったとしても、開業直後に本当に問われるのは、その人がどれだけ信用できるかということです。

新規開拓で営業先に行くと、「この人は登記を正確にやってくれるのかな?」っていうことよりも、「この人に任せて、何かあった時に逃げないかな?大丈夫かな?」というところを、すごく見られているような気がしてならないんですよね。

ということは、逆に考えると、私みたいに比較的司法書士歴が浅くても、身だしなみだったりとか、話し方だったりといった、その人自身の人となり次第で信用して、営業先からお客さんをもらえるということも十分にあるんです。

だから、そこは非常に良くも悪くもというところですね。あとは、関連業種が集まる場所でも、いろんなところに顔を出したりとか、レスポンスの早さだったりとか、雰囲気がすごく重視されるので、開業当初は特に気をつけるポイントだと思います。

信用という部分において、準備できるものとしたら、例えば名刺で相手に強い印象を残すとか、SNSとかで自分を発信して覚えてもらうというところでは、信用性というのはすごく高まる傾向にあるんじゃないかと、私は思っています。

仕事があっても現金化は甘くはない

2つ目、仕事はあるけれども、現金化は甘くありません。

司法書士で開業したばかりの方だと、「仕事がない、仕事がない」って焦っている方もいらっしゃるのですが、どちらかというと、仕事がないっていうよりかは、仕事はまあ多少あっても、現金化するのが遅いというのが開業当初結構あるパターンなんです。

というのも、例えば「相続登記お願いします」って依頼が来ても、実際話を聞いてみたら、遺産分割協議をするのにすごく時間がかかって、結局入金するのが1年後だったりとか。法人相手の場合でも、月末締め翌月払いっていうところも本当によくあるので、そういった時には、現金を手にできるのが、まあ、遅くはなってしまいます。

「大きい金額だと前金(着手金)をもらうことはあるんですか?」

はい。家族信託とか、あとは商業登記でも大きな金額ですと、着手金をもらって、後から手続きが終わった後に残金をいただくこともあるんですけれど、相続登記だったりとか、簡単な法人の登記とか、金額がそんなに大きくないとなかなか着手金をもらうというケースは少ないですね。

これはもう本当に、開業当初のキャッシュフローをどうするかという、死活問題になります。

アドバイスとしては、開業当初はできるだけ、弁護士さんとか税理士さんとかの関連業務の紹介を受けると、それだけもう先に話がまとまっていて、あとは手続きだけっていうケースが多いので、現金化も早くなります。

効率的に事務所を回す方法については、また別記事でお伝えしたいと思います。

書類チェックだけでは不十分、トラブル想定が重要

3つ目が、書類チェックよりもトラブル想定が重要です。

私たちがやる仕事は、ただ書類が揃っていたら手続き完了、というわけでは済まないんですよね。事前に、今後起きそうなトラブルを見つけて先回りするというのが、やはりプロの仕事だと感じています。

よくあるのが、依頼者から委任はもらったけれど、後になって関係者からクレームが来ちゃったりとか。

他には、登記簿を見たら元々間違いがあって、先にその間違いを改善しないと、本来の依頼内容に移れないといったことも出てくるんです。これについては、想定外のことがあった場合にどうするかっていうことを、日頃から勉強しておくことが本当に重要なんですよ。

手っ取り早い方法は、やはり1年でもいいので、どこか司法書士事務所に勤めてみることですね。

どういったトラブルケースがあって、どういうことを他の司法書士の人は想定しているかというのを、肌で感じるというのが非常に重要です。

依頼が来た時に、書類のことだけ考えずに、案件全体がどうなっているか見て、「想定されるトラブルがどういうことがあるのかな?」っていうことを頭で考えられると、お客様に信頼されますし、あとは自分が業務をやっていく上でも、とても楽になりますよ。

補助者を雇う覚悟と初期の事務所運営

4つ目が、補助者を雇うにも覚悟が必要、ということです。

補助者を入れれば楽になると思いがちですが、実際にはお金もかかるし、管理も大変です。人手不足で補助者を入れたいっていう方も多いかと思うのですが、なかなか定着しづらかったり、やっぱり給料の支払いとか、あとはその方が事務所に来るので、色々備品を集めたりということも必要になってきます。

もしも最初に小さい事務所でやっていくということだったら、できるところに関しては外注するというのも一つの手かもしれないです。

あとはもう本当に補助者の方に来てほしいっていうのであれば、家族だったりとか知り合いとかに、短期からお願いするという方法も、結構他の事務所だと見られますね。

価格競争に巻き込まれない「選ばれる理由」作り

5つ目、選ばれる理由を作らないと価格競争に巻き込まれます。

これは都心で開業していると特に思うのですが、今は司法書士を登録しているだけでは、待っていればお客さんが来てくれる時代ではないんです。

「なぜあなたに依頼するのか?」というところを明確に打ち出さないと、価格だけで選ばれてしまって、疲弊する価格競争に巻き込まれてしまいます。

これについては、もう開業前にどういった人をターゲットにしたいか、どのようにマーケティングをすればいいのかという綿密な戦略作りが非常に重要になってくるんです。

例えば、高齢者特化の相続専門の司法書士だったりとか、女性の場合だと、「女性司法書士が優しく丁寧にサポートします」ということをアピールして、あとはSNSとかYouTubeとかで自分を自ら発信していかないと、紹介とかがないと開業当初は生き残るのが非常に難しい、というのが私の正直な感想です。

まとめ

今日は司法書士として独立してみて、「独立する前に知りたかった!」と感じたリアルな現実についてお話ししました。どれも本やマニュアルには書いていないお話だったと思います。

  • 開業当初は専門知識よりも依頼者からの「この人なら大丈夫」という信用が最優先になる
  • 仕事があっても現金化が遅れがちで、資金繰りへの注意が必要になる
  • 書類手続きに加え、潜在的なトラブルを想定し先回りするプロの姿勢が重要
  • 補助者雇用はコストと管理の覚悟が必要なため、初期は外注も検討すべき
  • 価格競争に陥らないよう選ばれる理由と綿密な戦略作りが不可欠

私がIT業界からキャリアチェンジし、地方で独立したからこそ痛感する現実ばかりです。特に地方だと、一度築いた信用が何よりも大切で、その信用を守りながら、いかに安定してキャッシュフローを確保していくかが課題になりますね。

この記事で伝えたことが、これから独立を目指す皆さんの行動のヒントになれば、とても嬉しいです。

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