技術職からのキャリアチェンジ。リスクを抑えたい私が司法書士独立を選んだ理由

司法書士として合格し、研修を終えた後に「勤務」を選ぶのか「独立」を選ぶのか。これは、合格した誰もが頭を悩ませる、本当に大きな選択ですよね。

私自身、もともとは理系出身で、大学を出てから数年間はITベンチャーでコードを書いていました。理系出身で畑違いではありましたが、受験期には司法書士事務所で補助者として勤務していました。ただし実務の厚みは十分ではなく、研修と開業後に集中的に積み上げました。

受験生活も長引いたものですから、合格後は勤務と独立の両面を分析しましたが、リスクと費用対効果を比較した結果、独立を選びました。でも、いざ目の前に選択肢が迫ると、「本当にやっていけるんだろうか」という不安が、それはもう尽きませんでした。

この記事では、現役司法書士としての実務経験と、理系出身ならではの思考を活かし、感情論ではなく冷静に分析した“起業成功のビジネスモデル4原則”と司法書士開業の相性をお話しします。

特に地方で、私と同じように即独を考えている人の参考になると嬉しいです。

起業成功のビジネスモデル4原則と司法書士開業の適合性

この2025年の司法書士試験に合格された方は、これから11月上旬には合格発表があって、年が明けて1月あたりからですね、研修、研修の日々に明け暮れることになると思いますが、研修の最後の最後には配属研修という名前の研修が待っています。

これはですね、実際の司法書士事務所に勤めながら実務に接し、実務のノウハウを覚えていくという研修なんですけれども、この研修を経て、晴れて勤務の司法書士になるか、もうすぐに独立するかを選択することになります。

私は補助者経験もなくて、また受験生活も長かったもんですから、受験期の段階から、生活や収支のシミュレーションを行い、独立の準備を進めていました。実際にも地元の、この辺に事務所を借りてとか、すぐ独立する妄想をしてたもんですから、そういった研修が終わったあとにすぐ独立しました。

低初期投資・高利益率という理系的な優位性

これは有名な話でご存知の方も多いかと思いますけれども、起業して成功するビジネスモデルの4原則というのがあります。

1つ目は大資本を必要としないこと
起業する際に初期の投資が少ないというビジネスモデルですね。

そして2つめは在庫をあまり抱える必要がないというビジネスモデル。

そして3つ目が利益率が高い、原価が少なくて利益率が高いビジネスモデル。

そして4つ目が定期的、継続的な収入が確保できる見込みがあるというビジネスモデルですね。

このビジネスモデル4原則があると、起業して成功するというふうに言われています。この4原則を司法書士事務所の開業、起業について当てはめて考えてみてください。

まず1つ目の大資本を必要としない、初期投資、設備投資を必要としない、低く抑えられるという点に関して、最も司法書士事務所は有利だというふうに言えると思います。

ITベンチャーにいた頃は、サーバーやシステムに結構なお金をかけていましたから、この違いは大きかったですね。

私自身の開業時は、パソコンと机、電話、FAX、コピー程度でスタートしましたが、事務所規模や地域によって必要経費は異なります。

家賃も田舎ですと、そんなにかからないというのはありますし、まして自宅で開業をする人なんかはほとんどかかりませんから、こういった意味で初期投資、大資本を必要としないビジネスだといえます。

2つ目の在庫を抱えないという点についても、司法書士事務所の場合は、まあ封筒とか権利書の表紙とかその程度なもので、ほとんど在庫を抱えない、成功しやすいビジネスだと思います。

そして3つ目の利益率。司法書士業は原価がほとんどかからず、初期は一人で運営できるため人件費も抑えられます。業務形態によって差はありますが、開業初期は固定費が少なく、比較的安定した収益構造を保ちやすいと感じました。

この収益構造のシンプルさは、元エンジニアとしては非常に魅力的でした。

継続的な収入の確保が一番の壁

4つ目の継続的な利益、収入があるという点については、なかなか難しい面があります。

不動産登記にしても、売買や贈与にしても一過性のものですし、商業登記にしても、昔はですね、2年に1回の任期の役員変更がありましたけれども、今の中小零細の企業では任期を伸ばしているところがほとんどですので、なかなか仕事を定期的に依頼してもらえるという機会が少なくなってしまったのかなと思います。

今定期的な収入が見込める仕事といえば、成年後見の仕事などがあげられるんですが、これもなかなか大変な仕事です。

ですから、田舎で開業する分には、まだまだ銀行とか不動産業者に営業するというのが一般的なのではないかなと思います。そして、会社とかそういった銀行とか不動産業者と信頼を築いて、なるべくその定期的な収入を確保するというのが、一般的な田舎の地方の司法書士の姿なのかなと思います。

地道な営業と縁故で繋ぐ地方の仕事

あとは特殊な会社の、例えば医療関係であるとか介護関係の事業者と密接で、そういったコネクションがあったりして、定期的にそういった会社の抱えの顧問的な司法書士として定期的な収入を得るというのも見られます。

でも、そういったことがない方には、まず地道に営業していくしかないですね。

そして最初のうちは、親戚や友人から仕事をちょこちょこもらいながら、さらにその知り合い、その知り合いという形で縁故で横に広げていくような感じで仕事をこなしていく。

私も最初は親戚の相続案件から始まりましたが、一件ごとに丁寧に対応することで、少しずつ紹介が広がっていきました。

そうした仕事を地道にこなして誠実に暮らしていった先に、高利益が、気づいたら上がっていくというのが、地方の司法書士事務所の開業のモデルなのかなと思っています。

とりあえず開業して、知り合いから、親戚から、そして営業をかけながら、地道に目の前の仕事を一つ一つこなしていく。どんどん信頼を重ねていって、地域に溶け込んでいく。

これが地方で司法書士事務所を開業してやっていく秘訣だと思います。

現役の司法書士として、地方で開業を考える方には、地域の法律家としての役割を意識して準備を進めてほしいと思います。

※本記事は個人の経験に基づく一般的な見解であり、特定の開業を推奨するものではありません。

まとめ

  • 司法書士事務所は初期投資が低く、在庫も少ないため、起業成功の4原則のうち3つに適合していると冷静に分析できます。
  • 原価がほとんどかからず、80〜90%近い高利益率も期待できるため、低リスクで始めたい私には合っていました。
  • 不動産や商業登記は単発のため、独立後に最も頭を悩ませるのは継続的な収入確保という課題です。
  • 地方での開業は、銀行や不動産業者への粘り強い営業と、親戚・友人からの縁故を広げていくのが初期の生命線でしょう。
  • 成功への道は派手な特効薬ではなく、地道に目の前の仕事を誠実にこなし、地域との信頼関係を築き上げることだと日々痛感しています。

まだまだこういった応援メッセージを送っていきたいと思っていますので、また別の記事でお会いできればと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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