タイには日本と同様に道沿いに建っている普通の戸建ての家やマンション(コンドミニアム)がありますが、私の場合、「ムーバーン」(หมู่บ้าน:Muban)というエリアに住んでます。
※)ムーバーンとは:広い1つの敷地に家が沢山立ち並ぶ住居エリア。ビレッジみたいなもの。
今回はタイにおける普通の戸建ての家、その中でも昔ながらの家の様子や、ムーバーンの中の様子を紹介したいと思います。
タイにいる知り合いやお友達の家を訪問したり、タイに住むとしたらどんな雰囲気のところに住むことになるのか、参考にしていただければ幸いです。
タイの家の中の様子は以下を見てみてください。
タイの家と日本の家の違いを紹介!玄関・床・キッチンからお風呂まで徹底解説
タイの住まいに関する予備知識
まずタイの家に関するちょっとした予備知識から。
日本では家が建つ土地の面積を「50坪」とか「100坪」など「坪」という単位が使われたり、50㎡、100平方メートル、という「平方メートル」という単位が使われますね?
タイでは「平方メートル」で表現することもありますが、土地面積を示すには「ライ」とか「タランワー」という単位が良く使われます。
- 1ライ (400タランワー)= 約1600平方メートル = 約485坪
- 1タランワー = 4平方メートル = 約1.2坪
(100坪は82.5タランワー)
街中など、すでに土地利用が非常に進んでいる場所や大きな土地の広さの表示が必要とされないマンションなどでは「タランワー」が広さを示す単位として良く使われ、畑が広がっているような広大な場所や郊外では「ライ」の単位が使われているようです。
(その単位で土地が売り買いされてる。1ライってかなり広いので、そんななくてもいいからその内の100タランワー(120坪)だけ頂戴、といっても、なかなか小分けにするのは難しいようですね)

昔からその土地に住んでいる家では、以前は周りが畑だったみたいなところが多いのか、家の敷地が1ライ(約485坪)とか丁度その半分の1/2ライ(約240坪)といった場合も多いようです。
こうした「昔から住んでいる」といった家庭では、1ライ(約484坪)や半ライ(約242坪)といった広い敷地に1軒家があるというより、その敷地内に複数の家があり親族が集まって暮らしている、というパターンもありますね。
バンコクの親戚も何十年前からその土地に住んでいるようで、敷地面積も大きく、その中に5世帯分の家が建ち、そこで親戚の人たちと一緒にワイワイガヤガヤ会話の途絶えない感じで住んでたりします。
レストランなど、割と大きな駐車場が必要な場所は1ライの単位で土地を使っていることも多いようです。タイでレストランなどお店を訪れた時、やけにここ駐車場が広いよね、と感じたら、あー、なるほど、これ1ライの広さの土地を使ってるんだ、とイメージすればよいかも。
昔からその土地に暮らす家の様子
では最初に「昔からそこに住んでる」といった家の様子ということで、私が訪れた親戚の家を例にその様子をご紹介します。
一族で暮らす、広い敷地の家
その家の土地面積は1ライ(約484坪)とのこと。
かなり広々とした空間です。
その中に以下の図のように5世帯分の家があり、家以外のスペースは車を適当に止めたり洗濯物干したり、外のテーブルでご飯食べたりと自由に共同で使っているようです。

この家に最初訪れた時、最初は日本と同じように、一軒家かマンションのような場所に行くのだろうと気軽な気持ちでタクシーに乗り込みました。
はじめて訪れたときの戸惑い
タクシーに乗り、大通りを走り、そこから横道に入り(タイ語ではこうした大通りからの横につながる細めの通りを”ソイ”と呼びます)、しばらくすると到着するわけですが、塀が長く続いていて、その奥に大きな門が見えてきました。
想像していたよりもずっとスケールが大きく、思わず圧倒されたのを覚えています。
門は手動式で、内側に向かって開くタイプでした(現在はスライド式に変わっています)。重い門を開けながら、中の様子をそっとうかがいますが、見慣れない男性が何人か歩いていてるのが見えます。
誰か分からず不安にもなりましたが、あとで聞いてみると、敷地内を見守っている警備員さんだったようです。
その家族は何十年も前にこの土地に移り住んだそうで、当時は周囲に畑が広がるのどかな場所だったのだとか。その後バンコクの都市化が進む中で、周辺にも住宅や商業施設が増え、今ではすっかり都会の一角となってます。
タイでは、こうした大きな敷地に一族が集まって暮らすスタイルは今も見られます。昔の日本にも似たような暮らし方があったのではないかと、どこか懐かしく感じる方も多いかもしれません。
にぎやかな週末と、温かな交流
敷地内には広い共有スペースがあり、車が何台も停まっていたり、ちょっとした集まりが開かれていたりすることもあります。週末になると、近くに住む親戚たちが自然と集まってきて、屋外で食事を囲むにぎやかな時間が始まります。
まるで親族の小さなお祭りのようなにぎわいのようですが、初めてその場に加わったときは、誰が誰なのかもわからず、会話についていくのがやっと。
話しかけられても、うまく返せず笑ってごまかすことが多く、正直なところかなり緊張していました。楽しむ余裕など全くなく、とにかくその場に溶け込むことで精一杯だったと思います。
そんな中でも、親戚の皆さんはとてもフレンドリーで、日本のことを知っている人も多く、話しかけてくれるのが嬉しいですね。
タイでは「OISHI」という名前の日本食レストランが有名で、「おいしいってどういう意味?」と尋ねられたり、「こんにちは」「ありがとう」といった日本語を使って話しかけてくれる場面もありました。
中には、日本の童謡を知っている方もいて、「どんぐりころころ」を歌ってくれたときには驚きと同時に、とても暖かな気持ちになったのを覚えてます。
私はもともと人見知りな性格で、最初のうちはただ笑ってうなずくばかりでしたが、それでも皆さんが温かく接してくれて、本当にありがたく感じました。
タイでは、家族や親戚のつながりがとても大切にされていて、大きな家や広い敷地に驚くこともあるかもしれません。でも、そうした場所でも、迎えてくれる人たちの気持ちはとてもあたたかいものです。
もし機会があれば、どうぞ安心して足を踏み入れてみてください。きっと、親しみのこもった空気を感じられるはずです。
ムーバーンの全体像を紹介!
続いてはムーバーン全体の様子をご紹介です。
ムーバーン(หมู่บ้าน)とは大きな敷地内に沢山の家を建てたその集合住宅地。
(建売住宅が大きな敷地内にありそれ全体を指してムーバーンと呼びます)
日本でいう「分譲住宅地」に近いイメージですが、ゲートや共用施設が備わっているのが特徴で、引っ越し先を決めるときに色々なムーバーンを見て回りました。
ムーバーンの全体像については「タイで家を購入!戸建てやマンションのポイントと体験談」の記事も参考にしてみてください。
ムーバーンのブランドと価格帯の違い
ムーバーンは企業ごとに販売されていて、それぞれには「ブランド名」がついてます。
ブランドによって家の価格帯もさまざまで、日本の感覚と比べても高価格帯のものから比較的手頃なものまで幅広く存在しています。
私が住んでいるムーバーンは地域でも比較的知られている名前でした。家探しのときにはブランドは意識していなかったのですが、結果的に便利な場所に落ち着けたと思います。
実際、配達やタクシーを呼ぶときにもをムーバーンの名前を伝えるだけで場所がすぐ分かりスムーズに対応してもらえる場面が多く、名前の認知度の高さが分かります。
ただ、名前が知られているというのと高級なブランドというのはあまり関係がなく、たまたま私たちが選んだ家が知名度のあるムーバーンの中にあった、というだけのお話しです。
では早速ムーバーンの様子を見てみましょう。
ムーバーンのゲートとセキュリティ
ムーバーンの出入り口には大きく立派なゲートがあり、そこに警備員さんが何人も常駐しています。
ゲートはそのムーバーンの顔とも言える部分であり、ブランドごとにデザインや雰囲気も大きく異なります。
ムーバーンに出入りする場合は警備員によるチェックが行われ、住人でない場合は、許可の確認が必要になります。宅配業者やタクシー運転手はIDカードを預けて入構し、帰りに返却するという仕組み。
特に高級なムーバーンではゲートが二重になっていて、最初のゲートで本人確認を済ませたあと、もう一つのゲートでも再チェックを受けるといった構造になっていることもあります。
セキュリティ面にかなり配慮された設計になってますね。
私の住むムーバーンでは、以前は、のんびりとした雰囲気の警備員さんも見かけましたが、住人の安全意識が高く、常に一定の緊張感が保たれているように感じます。
ムーバーンの中の様子
ではいくつかムーバーンの中を具体的に見てみましょう。
ここでは、私が実際にタイで家探しをしていたときに見て回ったムーバーンの中の様子をいくつかご紹介します。完成済みの住宅地もあれば、まだ建設中のところもありましたが、どのムーバーンもそれぞれ特徴があり、中に入ってみると雰囲気がよく分かります。
ほとんどのムーバーンには25mほどの共用プールがあり、その奥にジムが併設されていることもあります。こうした施設は入り口ゲート付近にあることが多く、販売中の家がある場合には、そばに専用の管理事務所も設置されてることが一般的だと思います。
敷地内を進むと、きれいに並んだ家々が並び、新しいムーバーンでは木がまだ小さく、築年数が経っているムーバーンでは木々が大きく育ち、全体的に緑が豊かで落ち着いた印象。
緑の多さでまだ新しいムーバーンかそれなりに年数がたっているかが分かりますし、緑が多い場所が良い、という場合には、中古物件を中心に回っても良いですね。
敷地内はとても広く、郊外のムーバーンでは公園があるところもあり、夕方になると、ジョギングをする住人や犬の散歩をしている人、自転車で遊ぶ子どもたちなど、暮らしの様子がよく見られます。
(私も良く夕方に公園などで散歩してます)
家の下見に行く場合には、管理事務所から電動カート(4〜6人乗り)で目的の家まで案内されることが多いですし、中古物件の場合には、物件を紹介している不動産会社の車で回ることもあります。敷地が広いのでこれには助けられますね。
家の外観もさまざま
実際にムーバーンに入り家々を見てみると、ムーバーンのブランドによって家の外観もかなり違います。
落ち着いた感じのオーソドックスなタイプから、これは新しいタイプだな、と一目でわかるようなモダンな感じのものまで様々。
ムーバーン内には100ぐらいの家がある場合、最初に販売する時はそのうちの例えばまず30戸完成させて第一次販売、つづいて40戸完成させて販売、というように、段階を設けて販売しているようです。
第一次販売から第二次販売、第二次販売から第三次販売、と期間が空くことが関係すると思いますが、私のムーバーンでも第一次販売と第二次販売では外観が結構変わり、以下のケースもありますね。
- よく見る普通のタイプは第一次販売
- でも第二次販売ではモダンなタイプに変わっている
(つまり、ムーバーン内が全て同じ外観の家で統一されている、というわけではない)
時間が経過する中で、土地の値段が変化したり(基本毎年土地代は上昇傾向)、そのために建築材料の費用削減で必然的に見た目の変化が出たり、求められる流行りのスタイルも変化するなど、ムーバーンの販売企業も適宜対応していっている、という感じかも知れませんね。
最後に
バンコクの街中などでは開発も進み、個々の家の敷地もそれほど広くない家も多いと思いますが、タイ北部など地方では今でも「かなり広いな」と感じる家も多いです。
こうした傾向は日本も同じで、都会は便利ですが物価も高く、その分土地代も自然と高くなり、おのずと敷地面積も限られてくることにもなりますね。
タイに住むことを考える場合には、自分は外国人、特に日本人はお金持ちと見られ狙われやすい、ということを念頭に、ムーバーンのようにゲートでのチェックがある住宅地や、出入口に警備員が常駐するマンションなど、セキュリティ面で安心できる場所を選ぶのがポイント。
もちろん、道路沿いに建っている一般的な一戸建てでも良い物件はあると思いますが、初めて住む場合にはムーバーンやマンションを中心にチェックしていくと安心です。
タイの家の中、内装などの様子はこちら。
タイの家と日本の家の違いを紹介!玄関・床・キッチンからお風呂まで徹底解説
コメント