タイに住むと決める前に、どんなメリットやデメリットがあるのかは事前に知っておきたいところです。
ネット上にも実際にタイに暮らす人たちの解説がありますが、ここではタイ北部で10年暮らす私の体験を元に、デメリットを8つに厳選して紹介したいと思います。
ロングステイや移住を考える場合の予備知識として、参考にしていただけましたら幸いです。
メリットについては以下の記事で紹介しています。
タイ北部で暮らすメリット8選!気候や物価、サービスや土地柄について
1)ビザと多額の初期費用が必要
まず言うまでもありませんが、日本人がタイで暮らす場合、外国人としての滞在手続き、つまり「ビザ」が必要です。
40万、80万バーツが必要
ビザの種類や取得などはここでは省略しますが、ビザ取得のためには「定められた金額がタイ国内の銀行口座に一定期間以上預金されていること」が条件になります。

長期滞在を考える場合では、こうした場所でビザ手続きを行うことになります。
私の場合は、いわゆる「家族ビザ」ですが、40万バーツ(160万円~200万円ほど)が過去2か月か3か月間、タイ国内の銀行に収められている、という銀行の預金証明書が必要になります。
またロングステイビザでは、その倍の80万バーツ(320万円~400万円ぐらい)が過去3か月以上預金されている証明書が必要になります。
銀行の口座開設が必要
それに加えて、そもそもタイの国内銀行で口座開設も必要ですが、タイ国内の企業に就職してない場合、口座開設が難しい場合がありますね。
※)私の場合はタイ人の知り合いに紹介してもらい口座開設してます。
家族ビザもロングステイビザも有効期間1年ですが、この預金証明書は、滞在期間中に何かあればそのお金を使って生活が維持できる額、つまり何かあってもビザ有効期間の間は暮らせるといった保証金の位置づけに見えます。
ビザの申請時(更新時)には、申請日一週間以内に銀行に行って預金証明書を発行してもらう必要があり、2年、3年、とタイに長期間住む場合には「基本はそのお金は手を付けない」という形で銀行に預けておく必要があります。
これから考えれば、タイ北部に住むという場合に限らず、タイに住む場合には、初期費用として1年の滞在費(住居のレンタル費用や食費、光熱費など)のほかに、ビザ取得のための定められた預金が必要ということになります。(160万とか320万という額が必要で、しかもそのお金は手が付けられない)
こうした「手が付けられない預金が必要になる」ことが、まずデメリットの1つとして挙げられます。
ちなみに以前ビザの更新時、タイミングを間違えてしまい「預金証明書の日付が古いから取り直し」となった場合があります。
預金残高の証明書の発行日は、ビザ申請をする日から過去一週間以内になるように気を付けましょう。
ビザ申請については、以下をご覧ください:
【タイ】家族ビザの申請!準備する書類、申請までの手順と注意点について
2)家電量販店がないしPC修理は困る

日本の家電量販店のような品ぞろえを期待すると少し物足りないかも。
これは私のように「家電やガジェットが好きな方」には共通するかもしれませんが、特に何も買わなくても、例えばテレビとかPC、カメラ、スマホやiPad、それらのいろいろな周辺機器など見ながらブラブラするのは楽しいですよね。
家電量販店がない?
日本にいた時もヨドバシとかビックカメラとか、散歩ついでに立ち寄って色々見たりしてましたが、タイには日本の家電量販店のように品ぞろえが豊富なところが、あまりありません。
バンコクであれば、種類豊富な店が集まる場所もありますが、お見せに置いてある品々は同じものが多く、品ぞろえはやはり日本に比べれば少ないでしょう。
タイ北部では北部最大の町チェンマイでも、そうした機械ものが1つのビルだけで一通りは見られるという場所がありません。
大きなデパートに入っている電気店に行っても、店内のスペースは大きいけどあまり種類がなかったり、お目当ての品物がなかったりで、こうなると、楽しみも半減して少し寂しく感じることもあります。
それほど頻繁に行く場所ではないにしても、こうした「日本の日常の中の楽しみ」がタイでも実現できるかは要チェックです。
ちなみに、どうして品ぞろえが日本に比べて少ないように見えるのかを考えてみれば、実は日本が特殊ととらえるのが良さそうです。日本は色々なものを自国メーカーが生産してるので、おのずと品ぞろえも多くなります。
日本では、海外の製品しかない、という品物は基本ありませんし(全て国内メーカーが作ってますし)、痒い所に手が届く品も数多いのでおのずと種類も増えますね。
タイはそうしたメーカーは多くなく、だから基本輸入することになるので、おのずと品ぞろえも限られてきますし、輸入する分、割高になるわけです。
PC修理は諦めた
家電量販店に関連しますが、PCが故障したなど、IT機器が不調になると結構大変です。
PC故障など頻繁にはありませんが、私の場合、動画ソフトなどをCPUのパワーをかなり使うアプリを起動していると、熱の関係でいきなりシャットダウンするという現象にみまわれたことがあります。
しばらく我慢して使ってましたが、PC自体が壊れてしまったり、重要なデータを失うことがあるかもと考えて、PC修理屋さんを探しました。
日本では電気屋さんや家電量販店でPC買えば、そこにサポート窓口があり修理依頼が出来ると思います。でもタイ北部など田舎の場合には、簡単に頼むところがありません。
タイ北部にないならと、バンコクを訪れた際にPCも持っていき、やはり修理屋さんを探して訪ねて行くと、「これは電源周りの基板交換が必要になる」「でも基盤がないから修理はできない」と言われ断念したことがあります。
結局そのPCはだましだましで使い、次回の日本帰国時に新たなPCを購入してます。
故障具合にもよりますが、PC修理には日本よりも時間がかかりますし、私のケースのように「修理できない」場合もあるので、こうしたところは注意する必要があるしデメリットにもなりそうです。
3)いつでも食べてるし掃除も行う

店員が商品を並べながらその場で食事しているのもタイではよく見られる光景です。
日本では見かけないことがタイでは普通に起きる場合もあります。
文化の違いにもなりますが、
タイではショップの店員が、その場でよくご飯を食べてることがありますね。
これは地域によるものではなく、バンコクでも同じです。またショップにもよらず、大きなショッピングモールでも店員がお店の中で椅子に座り、普通にご飯を食べているのを見かけます。
お昼の休憩時ではなく、お腹がすいたらその辺でちょっと買って食べるというところですが、なぜ営業中(接客時間帯)にご飯食べてるのだろう、と感じる方もいると思いますし、マナーを重視する人であれば、かなり違和感を覚える場合もあるでしょう。
またセブンイレブンなどのコンビニやスーパー、大きなデパート系のショップでも同じことが言えますが、タイでは営業時間中に店内を掃除したり、品物の入荷や整理をしている場合もありますね。
お客さんがいる時でも、掃除や品物の整理を優先して作業しているように見える場合もあり、日本の接客に慣れていると、なぜ今それをしているのかな、と、戸惑うこともあると思います。
これらは文化の違いですし、そうしたスタイルがタイなので、気になる人が仮にいたとしても「ここは日本ではない」「タイはこれが良い」と慣れて行くしかないところです。
4)停電が良く起きる

こうした自然や歴史を感じる土地柄ですが、雨季には停電が起きやすいという一面も。
バンコク事情はあまりわかってませんが、私の住むタイ北部では停電がたまに起きます。
電気に関するインフラが弱いとも言えそうですが、バンコクでも数は少ないにしてもたまに起き、タイ北部のチェンマイあたりでは、雨期の季節になると月に1,2度ぐらいは停電になる、という感じです。
5月ぐらいから始まり10月ぐらいまで続く雨期の期間では、1日のうちのどこかで、どしゃぶりのような雨が降ることが多く、そうした時には要注意。
「かなりの勢いで雨が降ってるな」という場合、その後すぐに停電が起こることも珍しくありません。
停電している時間もその時その時で異なり、数分の時もあれば、数時間に及ぶ場合もあり、私の場合PCで作業をしている場合も多く、ディスプレイに目を向けていると突然真っ黒な画面になり、エアコンもTVもとまり、雨の音しか聞こえない時間がいきなり訪れます。
夜に強い雨が降る場合が多く、そのためか停電は夜に起きる確率の方が高いようですが、その場合、家の中は一瞬にして真っ暗になってビックリする場合もありますね。
そうした場合に備えて、我が家では以前はロウソクとキャンプ用のランタン(電池駆動と充電式の2台)を常備してました。
ロウソクを使うとなると、日本では仏壇にお参りする時や誕生日ケーキ、クリスマス、ぐらいだと思いますが、タイの北部に住むようになってから、日常の中で起きる停電時にロウソクの火を頼りに数時間過ごす、という日を何度か経験しています。
扇風機もエアコンも稼働しない部屋は、空気の流れが一瞬でとまり、そうした中、ロウソクの火が2つ3つ灯っているといった、なんとも風流な感じもしますが、実際には暑いしネットが使えないしと、結構大変です。
(今は充電できるライトが増え、さすがにロウソクは使ってないですが)
こうしたことが日常生活の中で割と起きるのがタイ北部であり、田舎暮らしの不便さ、アナログっぽさとも言えるところです。
こうした不便さは確かにデメリットかもしれませんが、非日常を楽しめる方には魅力に感じられる部分かもしれません。
5)ヘビやヤモリはお友達
こちらもバンコクでも事情は同じですが、今現在住んでいるタイ北部の家ではたまにヘビが出ることがあります。また「トッケイ」と呼ばれる体調30cmほどの大きなヤモリが家の外に住み付いてたり「チンチョック」という10㎝程度のヤモリを家の中で見かける時もありますね。
旅行で頻繁にタイに訪れていた私も、なぜかこの「トッケイ」と「チンチョック」には気が付いてませんでした。でも実際タイ北部の今の家に暮らし始めるとすぐ夜中に、
「トトトトトト...トッケイ...トッケイ...トッケイ...」
とかなり大きな声で何かが外で鳴いているのが聞こえます。
最初は、夜に鳥が鳴いている、タイは面白いな、と思っていたら、これが実は「トッケイ」という名の大型ヤモリでした。
以下は本物ではなく、タイ北部の屋台で買ったトッケイのおもちゃ。実際はこんな色ではなくて全体がグレーな感じです。

「チンチョック」はこの小型版で色はグレーというより薄茶色な感じ
この「トッケイ」は家の中で見たことがありませんが(流石に30cmほどもあるヤモリが家の中に出たら驚きますよね)、家の外の壁の隅や雨どいあたりに住んでいることが多いようです。
実はバンコクにある妻の実家では家の中に出たことがあり、その時は大騒ぎだったそうです。女性は勿論、男性でもトッケイに対して怖いと思う人が多いようですね。
小型ヤモリの「チンチョック」は家の中でも普通にみかけます。我が家の愛猫3匹がじっと何か見ているな、と思えば、視線の先の壁や天井にはチンチョックがいる、みたいな感じです。
田舎の方に旅行に行って地域の安いホテルに泊まった時、キッチンのシンクの水の流れるところから突然このチンチョックが飛び出して来て、思わず声を出して驚いたこともがあります。
ヘビについては、我が家でも2度ほど出たことがあります(体調1mほどで外の庭にいた)。
毒を持っていない種類だったようですが、あぶないのでムーバーンの警備員をよんで捕まえてもらったこともありました。
タイは気候が暖かいことからか、バンコクの街中でも田舎でもヤモリやヘビが出ます。こうしたものが苦手な人、嫌いな人にはちょっと住みづらい、デメリットになる、と言えるかもしれません。
6)洪水がたまに起きる
これはよく知られたことだと思いますが、タイでは雨が沢山降ったりダムの水を放水する場合に洪水(冠水)が起きます。
洪水では2024年にもかなりな洪水があり、チェンマイの街中やタイの南部など、家が流されたりするシーンをTVで放送してました。
また洪水で思い出すのは、かなり以前の2011年には大きなニュースになったことがあり、その時は雨期にダムの量がたまり過ぎで放水し、その大量の水がタイ北部からバンコクまで徐々に移動し、お店は元よりタイにある日系企業の工場などもかなりの被害を受けたようです。
(50cmから1m、場所によっては2m近くに達したとも報じられてます)
排水設備の影響からか、水が結構溜まりやすい地形やインフラが一因となるかもしれませんが、雨が強く降ると、道路が一面水が溜まることもあり、これはバンコクもタイ北部のチェンマイでも同じです。
チェンマイは大雨が降ると街中や空港周りで道路の冠水が起きるようですね。
我が家は少し高い位置にあるのか、幸いにも大雨が降ってもまだ冠水したことがありません(庭の一部に数センチの水がたまる、ということはあります)。
タイで住む場所を選ぶ場合には、以前冠水したことがあるかを必ず聞いておくと良いと思います。
(特に以前起きた大規模な洪水時に冠水しなかったかを聞いておくと安心です。私の場合も、移住で家探しをする場合には、訪れた先々で必ず確認しました。)
7)電気代が高い
タイで生活する上で必ず必要となるものに電気代がありますが、物価が日本に比べて安く感じる一方、電気代は高い印象があります。
エアコンを良く使う暑い時期(3月から10月)では、月に1万2千円ぐらい。日中も朝10時ぐらいからほぼ1日エアコンを使いますし、夜は3時間ぐらいのタイマーをセットして寝る、というような使い方をしています。
日本の感覚では、それぐらい頻繁にエアコン使えばそうなるという感じだと思いますが、物価が全体的に安いタイにおいては、これはかなり高いと言えるかもしれません。
ただ、日本で言う冬の時期の11月から2月では、タイ北部はかなり温度が下がり、朝晩は14度かそれ以下ぐらいまで下がります。(この時期大体バンコクより5度から10度ぐらい温度は低い)
この時期はエアコンは使わなくなり、日中暑くなるとたまに扇風機を使うぐらいで、電気代は月に3000円ほど。1年を平均すると、毎月の電気代はおよそ1万円弱ぐらいになるでしょうか。
タイでは電気代を気にする家庭も多く、暑い時期でもエアコンを使うのは寝る時とお客さんが来た時だけで、その他は扇風機を使うという場合も多いようですね。
ちなみに水道代については我が家の場合一か月500円ぐらいです。
日常生活でお風呂を使わずシャワーだけ、洗濯・炊事などで使う水の量は日本と変わらないと思いますが、庭の草木に水を毎日結構な量をまく、そうした中で大体月500円ぐらいです。
日本で暮らしていた時と比べて水をかなり使っていると思いますが、水道代は意外にも安いという印象です。
8)浴槽がない
「タイに住むなら戸建て?~」の記事でもタイの家の中を紹介してますが、タイはシャワーが基本で浴槽がないのが普通です。
タイでは高級ホテルを除いて基本はバスタブというものがありません。(高級ホテルでも部屋のグレードによってはシャワーのみ)我が家を例にとれば3つあるバスルームには浴槽がなく全てシャワーのみ。
日本に住んでいる時には、普段はシャワー、でも冬の寒い時期になると、温泉の素とか買ってきて、バスタブでゆっくりお湯につかるというのが何とも贅沢な感じがしたものですが、タイでも同じことがしたい場合には、バスルームに自分でバスタブを設置する、という改造が必要です。
私が住んでいる家のバスルームは、1階にバスタブを入れようとするとスペース的に難しく、部屋の拡張が必要になります。
また2階のマスターベッドルーム専用のバスルームは逆にかなり広く、大きなバスタブを置けるスペースはあるものの、家を設計した建築士よのれば、「水の重さに耐えることを考慮してないので2階にバスタブを入れるのは難しい」、というお答えでした。
1階の庭のスペースが結構あるので、部屋を一つ拡張する形で付け、そこにバスタブを置く案も出ましたが、100万円ほど必要となる可能性があることから、現時点では見送りとなってます。
お風呂に入る、湯船につかる、ということが日常の中で習慣化されている方には、タイのバスルームはデメリットになるかも知れません。
今回のまとめ
今回はタイ在住歴10年間の実体験をもとに、タイ北部に住むにあたっての主なデメリットを8つ取り上げました。
こうした点は、実際タイに住んでみて初めて分かるものであり、旅行で訪れる場合には見えにくい部分もあると思います。
タイに長期間滞在する予定がある場合や、タイへの引っ越しを検討している場合には、その地に住むことの課題やデメリットは何か、事前に理解してから行動するのが良いと思います。
タイでの暮らしを考える場合の参考になりましたら幸いです。
タイ北部で暮らすメリットについては、以下をご覧ください。
タイ北部で暮らすメリット8選!気候や物価、サービスや土地柄について
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