旅行で何度もタイに訪れている方の中には、将来タイで暮らしたいとか、タイに移住してみたい、と思う方もいると思います。実は、私もまさにその一人でした。
ここではタイに移住した私が、実際タイでの家の選び方や考え方、またこの家に住むと決定した決め手はなんだったのかなど、お話ししたいと思います。
タイに住みたいけどどんな家がいいのか、どういうポイントをチェックして選べばよいかなど、是非参考にしてみてくださいね。
家かマンションかを選択する
タイで暮らすために、まず必要なのは、やっぱり「住む場所」ですよね。
タイに引っ越すと決めた後は、「住む地域はどこにするか」から始まり、その後、「家かマンションかどちらにするか」、私たち夫婦はこんな話し合いからスタートしました。。
まずはエリアを決める
タイでは外国人は(つまり日本人は)家の購入はできません。外国人には土地の購入ができないので、土地付きの家が買えないんですね。
私の場合、妻がタイ人なので、妻名義であれば家でもマンションでも現地の人と同じ自由度で購入対象として検討できますが、たとえば日本人同士の夫婦の場合にはそうはいきません。
その場合、タイでは夫婦そろって外国人となるため家の購入はできず、家なら賃貸、マンションなら一定条件下(広さなどに制限があるようだ)のマンション購入(または賃貸)、という形になりそうです。
さて話は戻り、まずはどこの地域に住むか、エリア選びから始まりますが、私と妻は日本では都会の駅に割と近いマンションに暮らしてました(普通のマンションですが新築分譲で購入したもの)。
お店は近くにあるし駅も近い、徒歩圏内で一通りのものはそろっている、といった感じの場所ですが、車の通りも多く、少し騒がしく感じることもありました。
タイに住む場合には、そんな都会の喧騒とは離れ、のんびり静かなところに住みたい、そんな環境で次の人生をスタートさせたい、ということから、妻と私が最終的に選んだエリアはタイ北部の田舎町。タイ北部はタイの首都バンコクに次いでよく訪れている場所なだけに、「住むならやっぱりここでしょう」、という感じです。
さて住む地域は決定したとして、
次に来るのは実際に住む家、「戸建てなのかマンションか」の選択です。
戸建てなのかマンションか
私の場合、のんびりしたところが良い、そうした環境が良いとは思いつつ、遠い将来を考えると、病院が近くにある方がいいな、ということも考えました。
となると、やっぱり多少うるさくても街中の方が色々なお店が近いし病院も近くなるからその方が良いか、などの案も浮かびますが、当然のように街中はお値段が高くなる。
更に妻が、「マンションは隣近所で気になる人がいたら落ち着かないので、戸建ての方が良い」、とおっしゃる。加えて、病院は車で行けばそんなに時間かからないし、緊急の場合にはタイにも救急車あるよ、というお話し。
戸建てでも隣近所に相性が気になる人がいることもあるよね、と思いつつ、タイに住むんだからタイ人である妻の方がそうした事情はよく分かっているし、病院に関しては確かに、と思い直す私でした。
では、場所は街中ではなく静かな郊外(でもそんなに町中から離れてない所)、そしてマンションではなく戸建てにしよう。
そして妻の言う戸建ての条件は、「戸建ては戸建てでも、道沿いに建っているような家ではなく、セキュリティがしっかりしているところ」。つまりタイ語で「ムーバーン」と呼ばれるビレッジタイプの中の家が良いとか。
ムーバーン?ここで聞きなれない言葉が出てきました。
セキュリティに優れるムーバーン
それまで何度もタイ旅行をしていた私ですが、初めて聞く言葉。
ムーバーンとは、タイでよく見る住居形態で、大きな土地に数十から100を超える家が立ち並び、周囲は塀で囲まれているような居住地帯で、ようするにビレッジ(村)みたいなものです。
その敷地内に続く入り口には大抵ゲートがあり警備員がいる。ムーバーンに入るのも、ムーバーンから出るのも、ゲートの開け閉めや警備員のチェックが必要、といった、セキュリティには強いところです。

警備員が許可しないと出入りはできない。
見て回ったムーバーンは全て25mプールやスポーツジムが付いていて、日本人的な感覚からすると高級感が漂う。
住む場所を決めることに対して、「セキュリティがしっかりしてない所は絶対ダメ!」と、セキュリティについては異様に過敏になる妻。なんでセキュリティにそこまでこだわるのか改めて妻に聞くと、以下とのこと。
- 私が日本人だからであり、
- 外国人は目立ちやすく、
- タイに住むならセキュリティをまず第一に考えるべき
私自身はごく普通の生活レベルですが、タイでは“日本人=裕福”というイメージがあるようです
ということから、住むなら住むで、セキュリティがしっかりしているところ、つまり、ムーバーンであり、ムーバーンの中にある家にしよう!となりました。
戸建てなら二階建て
ムーバーンの中の家、ということでだいぶ絞られてきましたが、更にもう1つの条件が妻から言い渡されます。
日本では私の実家は2階建て。幼いころから高校卒業までそこで暮らしていたわけですが、結婚後に妻と暮らしていたのはマンション。
マンションに暮らしていたから別に2階建てでなくてもいいし、将来のことを考えると、平屋の方が楽かも…と私は思っていましたが、どうも妻の考えは違っていたようです。
物件探しを始めたら分かりましたが、平屋はめったにない、ということと(田舎の方は特に土地が広いですし)、タイでは洪水もたまに起きます(勿論場所によります)。
例えばバンコクの街中を歩けばわかりますが、歩道と車道では結構な段差があり、その段差のおかげで歩道から通りを渡ってまた歩道を歩く、といった時、歩道に登る、みたいな感覚があって、長時間歩いていると結構疲れます。
この段差、実は洪水対策(多少の水が道路にあふれても歩道も水浸しにならないための対策)なのでは、と思うほど。
平屋の場合、仮に洪水になった場合に逃げ場がないし、住む場所が全て水浸しにでもなればかなりな困難な状況にもなります。だから洪水になったとしても避難ができ、一階が水につかっても2階でやり過ごせる、だから「2階建てが良い」とのこと。
以上から、新たな住まい探しの対象も絞られて、
- ムーバーン内の家であること
- ムーバーンでもセキュリティがしっかりしているかどうかは実際に確認が必要
- 2階建てであること(平屋ではないこと)
ということで、いよいよ本格的な家探しです。
実際に物件を見て回る
ムーバーン内の家を探すといっても、一軒家なら一軒家で買うとなるとかなりお金が必要です。想定している予算にも限界があるので、予算内で行けそうなところを実際に回ります。
タイに引っ越す前は、まだ日本のマンションに住んでいて、タイへの引っ越し1年前ぐらいから、どうしよう、あーしよう、と妻と話してきましたが、日本国内で引っ越し先を探すのとは訳が違います。
日本国内の引っ越しでは、たとえば隣町や同じ県内などの近場であれば、毎週末に住みたい地域の不動産屋さんに行って物件を探して実際に見てみる、遠い所でも月に1回その場所にある不動産屋さんに相談する、みたいに、割と頻繁に探すということができますよね?
でも海外に引っ越し、となると、
週末にちょっと探しに行ってくるなどはできません。
私の場合、5月、8月、10月ぐらいに各々1週間ぐらい休みを取り、その間に妻と一緒にタイ旅行して、その中で合計30以上の物件巡りをして決めてます。
これがなかなか大変です。
(同じことは2度はできないぐらいです)
1週間ほどの休みの中で、実際しっかり見て回れるのは3日ぐらい。つまり延べ10日間ぐらいで30以上の場所を見て回る、という感じです。

3月から話始め、その年の12月には決定した。
タイにも勿論不動産屋さんはありますが、お目当ての地域の不動産屋さんをまず探す、というより、以下の流れで色々な物件を確認しています。
- ネットでどんな物件があるかを事前に確認し、
- その中から地域と予算を考えて絞り込み、
- ここを見てみたい、という情報を掲載している不動産屋さんに連絡して、
- その不動産屋さんと現地で落ち合って案内してもらう、
気になる物件をピックアップして、タイ旅行の日程前に現地の不動産屋さんに連絡し、見て回る日程を調整、そして実際に現地で落ち合う時間と場所を決め、車で案内していただきます。
毎回違う不動産屋さんに色々な場所を紹介してもらい、沢山見ている内に段々とどれが良いかも分からくなることもありました。
※)期間も分かけて訪れていて、記憶やその時見た印象も曖昧にもなることから、写真は多めに十分以上に撮っておくと、あとでリアルに思い出せたり比較するときに役立ちます。
その場合、家だけでなく、ムーバーン内の環境、ムーバーンの外の環境も分かるように写真に収めておきましょう。
最後の決め手は何か
引っ越ししたことがある人なら分かるかも知れませんが、引っ越し先を決めるとき、自然と「ここが良いかも」と感じる場合も出てきます
何十と色々な物件を見ているうちに、価格に対するタイの家のレベル(敷地や庭の広さ、部屋数など)も分かり、「タイの家とはこうした家の構造をしている」、「こうした作りになっている」、というのも実感として分かってきました。
そしていよいよ決断の時が迫ります。
二人の意見が分かれる!
そろそろ決めないと引っ越しの日程に間に合わなくなる、という時、妻と話していよいよ決断をすることになりますが、ここで私と妻の意見が分かれました。
- 私はAという家が良いと思った
- 妻はBという家が断然おすすめ
AとBの価格差は70万バーツぐらいでした。
(当時のレートで、Aの方がBより250万円ほど高かった)
AとBとは、大体以下は同じです。
- セキュリテイ面:同等
- 一番のポイントであるセキュリティ面はどちらも同等。
- 町中からの距離:同等
- 街中からの距離も車で10分~15分ぐらいで、どちらも同等。
- 隣近所との距離:同等
- 隣近所も、庭と家の外の道で区切られているので、仮に騒がしいとしてもどちらも同等。
- 部屋数:同等
- 一階にはリビングの他に寝室もあった方が嬉しい(2階に行く手間が省けるため)、ということで、どちらも1階に寝室があるし、2階含めて全体の部屋数は同じ
AとBの違いは以下のようなもの。
- 庭の広さ:Aの方が広い
- Bに比べてAの庭の広さが1.5倍~2倍ぐらい広い
- 家の中の広さ:Aの方が一回り大きい感じ
- 1つ1つの部屋の広さは、Aの方が大きい
- 池までの距離:Aの方が近い
- Aはムーバーン内の大きな池が近いがBの方は池から少し離れている
ポイントとなったセキュリティ面はどちらも良いし、価格を抜きにすれば、これぐらいの違いしかなく、二人で住むにはどちらも十分な広さ。
価格に結構な差がありますが、それでも私がAを良いと思っていたのは、家のすぐ近くにある大きな池がポイント。当時犬を飼っていたことから、いつでもすぐ池の周りで犬と散歩ができる、というところが大きな魅力に見えました。
それに加えて、家の中の一部屋一部屋がBに比べて大きい、という点も、非常にのんびりできそうで良い感じがしていたが、かなり贅沢な感覚です。
私はここに住む運命にある!?
妻から見れば、AでもBでも広さに関しては二人で暮らすのには十分すぎる、という感じで、また池といっても、Bのあるムーバーンにも5分ほど歩けば大きな池と公園があり、この点もそれほど違いを感じてないようでした。
そうした中で、価格が70万バーツも違うとなると、妻からしてみれば、Bの方が断然良いというところでしょう。
それ以上に妻の決め手となったのは、Bの家を下見で訪れ中に入った時に、
「私...ここに住むことになるんだわ...」
といった感覚があったのだとか。
この感覚は、私には分からないところですが、妻には何やら予感があった、ということですね。
そういわれると、「そうか、Bの方がいいのかな」と思いますが、私としてはどうもAの方が良いような気がしていて、なかなか決断を下すことができずにいました。
そうした中、私にとって最後の決め手になったのは、妻の親戚(タイ人の夫妻)の言葉でした。
価格に対する価値観の差
最終決断を下す前に再びタイに行く機会があり、その時妻の親戚にどの家を購入するか決めかねている事を話すと...
- 70万バーツも違いがある?
- 家にそんなにお金をかける必要はない
- 違いは池が近いか遠いかだけ?
- それならBで十分。価格差も大きいし、十分良い物件だと思うよ。
Bが圧倒的に優勢な立場になり、私の後ろで妻がニンマリした瞬間です。
私から見れば、AにしてもBにしても想定内の価格で、その出費は私たち二人の将来のため仕方のないもの、という捉え方でしたが、タイでは「70万バーツ」という差は想像以上に大きなインパクトがあるようす。
今現在、実際タイで生活している実感からすると、車とかは日本で買うよりかなり高い感じがしますが(輸入になりますから)、でも生活にかかる物価は日本に比べてタイの方が2分の1から3分の1ぐらいでしょうか。
最近は日本食レストランも”日本で食べるより高い”といったところも増えてますが、普通に現地の人たちが利用するフードコートで食べれば、まだまだ安いと思います。こちらもお値段上がって来てるようではありますが、簡単なものでは一食300円ぐらいで食べられます。
当時は、物価が3分の1ぐらいで、つまり、お金に対する価値がざっくり3倍ぐらい違うということが言えましたし(日本人が1000円のものを買うのとタイの人が300円ぐらいものもを買うのが同じ感覚)、タイの人は慎重にお金を使うといった、お金に対する価値観が非常に高いようにも見えます。
お金の価値観が3倍も異なれば、70万バーツ(当時250万ぐらい、2025年4月現在では300万かそれ以上)違うとなると、日本人的感覚で言えばその3倍の700万とか800万ぐらいの違い、となるかもしれません。
700万とか800万も違うとなれば、私も断然Bの方が良いとなったと思いますが、当時はまだタイには旅行で来るぐらいで、タイにおけるお金の感覚が全くわかってなかった、というところです。
この妻の親戚の言葉に強い説得力が感じられ、結果、Bに決定です。
私と妻が新たに歩む第二の人生の住み家がここに決定されました。
※)タイの家はどんな感じか、中の様子などが知りたい!という場合には「タイの家と日本の家の違いを紹介!玄関・床・キッチンからお風呂まで徹底解説」も見てみてください。
最後に
今回は、タイに住むにあたりどのような過程を経て住み家を決めたか、についてでした。
私たちがタイの家を決めるにあたってポイントとしたのは以下のようになるでしょう。
- 住みたいエリアを選ぶ
- 実際現地に行って見てみる
- セキュリティ面がしっかりしているところを選ぶ(ムーバーン内の家を選んだ)
- 2階建てを選ぶ(マンションなら2階以上のところを選ぶ)
- お金はもちろん大事で、予算内で安い所を選ぶ
- 現地の人に相談してみる
一番の決め手は、タイ人である妻の直感だったのかもしれません。
旅行に何度となくタイに来ていたものの、それはあくまで旅行であり、実際に暮らすとなると話は別。住むとなれば現地の人の感覚が非常に大事で、それを参考にして決めるというところが重要な要素になるのかと思います。
タイで暮らしてみたい、という方にとって参考になれば幸いです。ご覧いただき、ありがとうございました。
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