ピアノを習い始めた関係もあって、タイのチェンマイでピアノコンサートに行く機会に恵まれました。
コンサートは日本にいた遥か昔にオーケストラ（クラシック）の演奏とピアノの発表会（子供達の演奏会）の見学に行ったぐらいで、今回は物凄い久しぶり。
ピアノコンサート自体というより、タイのチェンマイではどんな場所でどんな雰囲気でコンサートが行われるのか、の方に興味が強く、実際行ってみた様子をご紹介！
場所は教会？
今回のピアノコンサートは、チェンマイのチェンマイ市にある「The Church of Christ in Thailand」。（タイ基督教会）
※）「チェンマイは県の名前」。その中に「チェンマイ市がある」。日本の青森や静岡、広島とかと似てますね。（青森県 青森市、とか、静岡県 静岡市みたいな）
ちなみにバンコクに負けず劣らず、チェンマイも電線が非常に多い
日本のコンサートって教会でやるパターンは少ないと思いますが、「タイはこうした場所でピアノコンサートやるのね。音響とかは良いのかな？」など思いつつ、今回はタクシーで会場へと行ってます。
そして到着した教会がこちら。
教会の前で撮影したものですが、タイ語で「75周年 タイ基督教会 北部ミッションセンター」とあるようです。ということは、この教会はタイ北部の拠点という位置づけとなるようですね。
1階に入ると教会の歴史が年表形式で説明があります。
ちょっと細かくて見えませんが、
ここでは以下のような説明があります。
- 1511年（戦国時代初期）：
ポルトガル人がタイ（アユタヤ）に到着しキリスト教が伝わる。 - 1662年（江戸時代・第4代将軍 徳川家綱の時代）：
フランスのカトリック宣教師がアユタヤ（バンコクのすぐ隣）で布教を開始。 - 1782年（江戸時代・第10代将軍 徳川家治の時代）：
バンコク王朝（ラタナコーシン朝）成立後、カトリック宣教師が再び活動。 - 1828年（江戸時代・第11代将軍 徳川家斉の時代）：
アメリカのプロテスタント宣教師が布教や医療活動を開始。 - 1840年代～（江戸時代・天保の改革の時期）：
プロテスタントの宣教団（アメリカン・プレスビテリアン・ミッションなど）がバンコクで本格的に活動。 - 1900年～（明治・大正・昭和～）：
カトリック・プロテスタントが全国に広がり、現在の「タイ基督教会（The Church of Christ in Thailand）」へと発展。
日本と比べてみると、タイにおけるキリスト教の伝来時期は大体同じ。
日本は 1549年（戦国時代）、タイは 1511年（アユタヤ王朝）。日本ではスペイン系イエズス会のフランシスコ・ザビエル（ポルトガル人）、タイではポルトガル商人とカトリック宣教師が布教を始め、どちらもカトリックで、世界的に見れば大航海時代というのが共通してるようです。
タイにおけるキリスト教の歴史も知れて、何かこれだけでコンサートに来たかいがあったみたいな感じもしました。（いや、まだコンサート始まってないし）
では早速ホールに行ってみましょう。
コンサートホールの様子
受付を経て、いよいよピアノコンサートが行われるホールへと入ります。
以下がその教会のホールの様子。
中央に赤い台の上にピアノが置いてありますよね？その四方を客席が並んでいるという形。
教会のホールだからですが、この会場に入った時の第一印象は「イメージしていたより、こじんまりした場所だな」というところ。
ピアノもグランドピアノっぽいですが、何か小型な感じ。どこからレンタルしてきたというより、この教会で所有しているものなのでしょう。ホールの大きさからして「このぐらいのサイズのピアノが良い」としてると思います。
ただこれ、しばらくして分かりましたが、生のピアノではなく電子ピアノなんですね。時間が少し経つとスタッフがこのピアノの本体裏側に何か電子機器みたいなものを取り付けている。
「ピアノに何つけてるんだろう．．．音を拾ってマイクで流すのかな」なんて思いつつ様子をうかがっていると、何気にピアノの演奏が聞こえ始める。
「あれ？これはどこから聞こえるのかな？」など思ったら、このピアノの自動演奏が始まったのでした。「何？これは電子ピアノ？ピアノのコンサートで電子ピアノ使うんだ．．．」と少しびっくり。
てっきり普通の生のピアノとばかり思ってましたが、ピアノのコンサートで電子ピアノも使われる時代になってたんですね。
作り的には小型のグランドピアノのという感じ。
調べてみても、どういったブランド化までは分からず
そう言えば、と後で気が付きましたが、チェンマイのバンコク病院にも１階ロビーにピアノ（やはり小型のグランドピアノ）が置いてあり、一般の人の演奏は禁止ですが、普段はずっと自動演奏してます。
タイではわりとこの型の電子ピアノを置いてある場所が多いのかもしれません。
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少し調べてみると、日本でもグランドピアノを置いてない会場（幼稚園や学校、病院など）で演奏会が開かれる場合、電子ピアノでの演奏もあるようですね。
ちなみに受付では「ミニペットボトル」（お水）と「ちょっとした食べ物」（Dang Bakery：ダン・ベーカリー）が配られました。
コンサートって飲食禁止みたいな思い込みがありましたが、さすがタイ。
タイではショッピングモールを歩けばショップの店員はお客さんを気にせずご飯とか食べたりしてますが（笑）、まさかコンサートで食べ物が配られるとは思いもよらず、びっくり＋何気に嬉しい。(*´▽｀*)
ふたを開けてみると、中にはパンとチョコレート風パン、アップルジュース。妻の方にはチョコレート風パンの代わりにミニサンドイッチが入ってた。
他のお客さんたち見ると、談笑しながら食べてる方も結構いましたが、何かそこで食べるのに気が引けて、私たちはお持ち帰り。
演奏や観客の人たち
今回の演奏会は有料で、大人500バーツ（2千円ほど）、子供（12歳以下）は300バーツ（千円少しぐらい）。日本でも超有名な演奏家では5千円から1万円以上すると思いますが、若手アーティストとか普通のピアノリサイタル的なものは2千円～5千円ぐらいでしょうか。
とすると、まぁこれぐらいかな、という感じかも。
ただタイと日本の物価を考えると、2千円ほどというのはタイ現地の人から見て日本円で4千円ぐらいの価値になるともいますので、結構高い、という感覚でしょう。
実際観客を見ると、タイの地元の人はあまりいなくて、海外から来てる人（まぁ私もそうなんですけど）が大半のように見えます。（明らかに西洋人みたいな）
この会場に来る前に、服装について普段着で行こうとしたら妻に怒られます。
- 「いやいや、そんなTシャツ短パンみたいじゃダメでしょ。」
- 「コンサートなのよ？もっとちゃんとしたやつ着なさい」
でもここは日本の常識がいともたやすく覆される微笑みの国タイ。
ピアノのコンサートといえど普段着で良いと思ってましたが（葬儀も普段着で来る人結構いるし）、でも実際会場に行ってみると、女性はドレス風にオシャレをした方が多い（タイではなく近隣の国でエキゾチックな雰囲気を出してる方とか、欧米のドレス風な方までいた）。男性も街で見かけるようなゆるい感じな服装ではなく、スボンはいてしっかりしている。
危うく日本人はあまり服装意識しないんだな、なんて思われるところでした。
妻よ、ありがとう！^-^;）
そして驚いたのが司会の人。20代ぐらいの若い方（タイ人）ですが、タイ語ではなくすべて英語なんですね。まるで視聴者にタイ人はいないみたいな感じでずっと英語で演奏者の紹介から曲目の紹介など話してます。
日本のディズニーランドやユニバーサルスタジオでも英語の説明がありますが、そのあと日本語の解説もありますよね。（まぁ場所が日本なので）。でも今回のコンサートは場所はタイのチェンマイで、それでも司会の人はずっと英語なのにはちょっと驚き。^-^;）
ただ実際コンサートが始まり、演奏者自身が自己紹介したり曲の間に小話をするシーンでは、演奏者はタイ語で話し、それを司会の人が英語で話す、みたいなことをしてました。演奏者がタイ語で話しているところを聞いて、何かホッとするような落ち着いた感じもしてみたり。
コンサート自体はベートーベンの曲を演奏してました（聞いたことない曲だったので妻も私も失礼ながら睡魔に襲われてました）。でもアンコールで妻も大好きな（タイ人なら普通に知っている）「エリーゼのために」が演奏され、かなり嬉しかったです。^-^;）
演奏者もまだ30代の前半ぐらいな感じで、とても気さくな雰囲気。タイ語で色々喋ってた部分は私にはよく分かりませんでしたが、来てよかったな、と思わされるアットホームなコンサートでした。
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タイと日本の環境に違い
タイで初めていったコンサート。
ピアノを習いに行きたいと思った時や、今回のコンサートも行くかどうか話していた時にも改めて妻から聞きましたが、ピアノに対する環境が、日本とタイでは全く異なるようです。
学校にピアノがない？音楽の授業がない！？
日本では学校で言えば大抵クラスに1人かそれ以上、ピアノを弾ける人がいますよね。（私はピアノではなくエレクトーンでしたが習ってたことあるし）
小学校から中学、高校まで、学校には必ずピアノが置いてあり（中にはエレクトーンも置いてある学校も多いと思いますし）、ヤマハに代表される世界的なピアノメーカーもあれば、楽器屋さんも多い。
ピアノを含めた音楽教育も盛んで、音楽大学やピアノ科などの学部学科のある芸術系の大学も日本各地に沢山ある。
でも妻曰く、タイでは学校にピアノは置いてなく（ピアノが置いてある学校は限られていて）、そもそも音楽の授業がない場合もあるのだとか。またピアノを専門で学べる大学も日本に比べると全然多くない、というか少ないようですね。
妻に「ピアノを専門に学べる大学ってあるの？」と聞くと、「うーん」と少し考え込んでしまう。妻は音楽系は詳しくないので余計にそうだと思いますが、これが日本なら具体的な大学名が思い浮かばなくても「なんとか音大みたいな大学、結構あると思うよ」ぐらいは答える人も多いと思います。
気になってタイでピアノを学べる大学ってどこ？と後で調べてたところ、バンコクではチュラロンコン大学やマヒドン大学といったタイではトップクラスの総合大学だったり（日本で言う東大、京大クラスですね）、タイ北部ではチェンマイのチェンマイ大学やパヤップ大学（日本で言う地方の旧帝大や関関同立クラス）があるようです。
そう言えば私が習ってるピアノの先生、どこの大学出てるんだろう。チェンマイ大学とかパヤップ大学でピアノ専攻してるのかな。
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コンサートホールに違いがある？
今回のコンサートは教会でしたが、日本では市民ホールとか文化会館みたいなところで行われることが多いんじゃないかな、と経験的に思います。（市町村単位で１つや２つはそうした場所があるみたいな）
なんで今回は教会だったのかと思いましたが、逆に言えば、タイでは日本ほど市民ホールとか文化会館みたいな場所が多くない、と言えるかも。
ではなぜ日本では市町村単位ぐらいで市民ホールとか文化会館があるのかと言えば、いわゆる箱モノをバンバン作っていた「自治体がお金持ちだった時代」を経験してるからなのでしょう。
日本には高度経済成長期の時代（1950年ごろから1970年代ぐらい）とその後に「バブル期」っていうのがありましたよね。1980年代後半から1990年代の始めに地価や株価がやたらと高騰したりして、企業の法人税とかの税収も増え、市町村がとてもお金持ちだった時代。
高度成長期にもハコモノは作られていたようですが、それはバブル期に加速して、更に市町村で競ったみたいなところもあったりで、市町村の役所の建物自体もそうだし、市民ホール、美術館、体育館など文化施設がバンバン作られて行ったと思います。（俗に言うハコモノ行政）
だから各市町村にはコンサートが開ける会場が結構あり、子供たちのピアノの発表会とかも、そうした会場で開かれることも多いのでしょう。
タイにも経済成長期はありますが（1980年代から1990年代）、日本ほどの「バブル期」というものはなく、逆に1997年にはアジア通貨危機（これは実はタイが発端）があったりして経済成長が一気にストップする、ということありました。
こうしたこともあって、タイでは日本みたいにハコモノをまるで競うように作るみたいなタイミングがこれまでなかった（タイにおける地域の行政単位では、そもそも日本みたいに文化施設を自治体ごとに作るみたいな発想はあまり持ってない、ということもあるのかも）、だから教会を利用する機会が日本に比べて多い、ということになるのでしょう。
（教会以外にも大学やホテルなども活用されることが多いのだとか）
日本もバブル期というものがなければ、今ほど市民ホールや文化施設はなかったということにもなるのかも。実は日本みたいに、各市町村に「なんとかホール」があるのは世界的に見ても珍しいのでは？と思います。（それが今では少子高齢化で大きな負担にもなっているのが悲しい）
まとめ
ちょっとコンサートとは違いますが、日本では当たり前と思っている学校の「音楽の時間」がないとか、ピアノが学校におかれてない、など、コンサートをきっかけに、始めて知ったことも多く、私にとってはとても貴重な機会になりました。
ちなみにタイの楽器屋さんは、チェンマイで言えばセントラルフェスティバルに３つ．．．あったと思います。
その内２つはショッピングモール側にあり、ギターとかの弦楽器や管楽器を扱うお店と、もう１つはピアノや電子鍵盤楽器を扱うお店。このピアノを扱うお店は割と新しいと思いますが（2年ほど前に出来たのかな？）電子ではない生のアップライトピアノも置いてあって、少し触らせてもらったことがあります。
（生のピアノは音が大きくてビビるのだ ^-^;））
残りの1つは反対のデパート側にあり、ここが今我が家にある電子ピアノを買ったお店。最近は少しスペースが拡張されたようで、先日行った時には6，7台ぐらいは電子ピアノがあり、生のアプライトピアノも1台ありました。
セントラルフェスティバルでは1階でいつもギターとか弾きながら歌を歌う人がいたりしますが、もっともっと楽器を演奏する人が増えていくと楽しいですね。
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