会社の合併を経験したとき、それまで普通にやってきた仕事の進め方が、別の組織ではまったく通じないことに驚きました。
合併後のプロジェクト会議で進め方を提案したところ、会議室が一瞬静まり返り、その沈黙で初めて、ここでは自分の常識が常識ではないと気づいたんです。
この記事では、会社合併や部署異動などで「今までのやり方がなぜか通じない」と戸惑ったとき、私が何を観察し、どこを変え、どこは残したのかを書いています。新しい組織で発言や承認の流れが分からず、どう動けばいいのか迷ったときに、考え方の一つとして役立ててもらえればと思います。
会議の沈黙で「自分の常識」が崩れた
合併前にいた会社は、比較的自由な雰囲気でした。
役職に関係なく意見を出し、思いついた案はまず話してみる。仕事の進め方も個人に任される範囲が広かったと思います。
私もそれが普通だと思っていました。
ところが、合併した相手の会社は少し違いました。
上から決まった方針を正確に実行することを重視し、意見を出すにも順番がある。誰が発言するかも、暗黙のうちに決まっていたようです。
その違いを最初に痛感したのが、合併後のプロジェクト会議でした。
私はそれまでと同じように、
「こういう進め方もあるのではないか」
と提案しました。
内容としては、そこまで突飛なものではありません。けれど、発言した直後、会議室が静まり返りました。反対意見が出るわけでもない。ただ空気だけが固まったような感じです。
「あれ、何かまずいことを言ったかな」
内心ではそんなことを考えていました。
後になって分かったのは、その組織では、すでに決まった方針に対して意見を出すのは基本的に上司の役割だと考えられていたことです。
私にとっては前向きな提案でも、相手から見ると「その立場で、そこへ意見するのか」と見えたのかもしれません。
同じ発言でも、組織が変われば受け取られ方まで変わる。これは結構な衝撃でした。
誰が・いつ発言する組織なのかを観察した
それからは、新しい組織に入ったとき、いきなり以前と同じやり方で動くのをやめました。
まず見るようになったのは、以下のようなこと。
- 誰が最初に発言するのか
- どの段階なら意見を出してよいのか
- 誰が決めるのか
- 決定した後、周囲がどう動くのか
以前の会社では、会議中に気づいたことがあれば、その場で言うのが普通でした。でも合併後の会社では、会議で突然出すより、先に上司へ話しておく方が進みやすい場合もありました。
最初のころは、「そこまで気にしないといけないのか」と思ったものですが、意見を言わない人が多いからといって、何も考えていないわけではないんですね。
実際には、「ここで自分が言うことではない」と考えていることもありますし、逆に、自由に発言する文化でずっと黙っていると、「何も考えていない」と見られることもあります。
どちらが正しいというより、まず、その組織の意思決定の過程を見る必要がありました。
自分の意見を言う前に、まず意見の出し方がどうなっているか、知る必要があったんですね。
自分から動くやり方もそのままでは通じなかった
戸惑ったのは、会議での発言だけではありませんでした。
合併前の会社では、自分で考えて先に動くことが評価されていました。
確認を待つより、必要だと思ったことを先に進めた方が、「よく気づいた」「そこまでやってくれたのか」と言われることもあります。
それが積み重なって、自分の中では「仕事は先回りして動くもの」という感覚が強くなっていました。だからこそ、合併後にそのやり方が通じなかったときは戸惑いました。
承認を取らずに先へ進めると、「なぜ相談しなかったのか」とまず言われます。
最初は、「これでは仕事が遅くなる」と不満でした。
今まで、それでうまくやってきたわけですから、なかなか納得できません。でも、しばらく仕事をするうちに、相手のやり方にも理由があると分かってきました。
関連記事:仕事で周囲に流されない判断|根拠を聞いて考えを変えた経験
組織が大きくなると関係する部署も増えます。一人の判断で進めたことが、あとから別部署を巻き込んで大きな手戻りになることもある。
承認を重視していたのは、単に「堅い会社だから」というだけではなく、責任の所在をはっきりさせたり、後から問題になるのを避けたりする意味もあったんですね。
もちろん、何でも承認を待てばいいとは今でも思いません。
でも、「以前の会社ではこれでうまくいった」という理由だけで、相手のやり方を遅いと決めつけるのも違うと思うようになりました。
強みを捨てずに動き方だけ変えた
だからといって、それまでのやり方を全部捨てたわけではありません。自分から動くこと自体は、今でも強みだと思っています。
変えたのは、その出し方でした。
正式な承認が必要なことは、勝手に進めない。その代わり、
「この案ならこうなります」
「こちらならこの影響があります」
と、判断しやすい資料や選択肢を先に準備するようになりました。
ただ承認を待つのではなく、承認されたらすぐ動けるところまで準備しておく。そうすれば、新しい組織のルールを守りながら、自分から動く部分も残せます。
会社が合併したばかりのころは、自分のやり方を否定されたような気持ちもありました。でも、後から考えると、能力そのものが通用しなくなったわけではありません。使う場所とタイミングが変わっただけだったんですね。
以前の成功体験をそのまま持ち込むのではなく、新しい組織の発言や承認の流れを見ながら、動き方を合わせ直す。
私の場合は、それが分かってから余計な摩擦がかなり減り、自分が進めたいこともスムーズになりました。
まとめ
会社合併では、それまで普通だった仕事の進め方が通じず、会議での発言や承認の取り方に戸惑いました。
でも、以前のやり方を全部捨てる必要はなく、新しい組織の意思決定の流れを見ながら、自分の動き方を合わせ直せばよいと分かりました。
会社合併や異動などで「前の職場では普通だったのに」と戸惑っている方にとって、ひとつの判断材料になればと思います。


コメント