ジョジョ1 第1話|「人間讃歌」の幕開け。52歳が守り抜きたい日常と職人の血統

「人間讃歌は『勇気』の讃歌!!」

このあまりにも有名なフレーズから始まる『ジョジョの奇妙な冒険』。19世紀の英国を舞台にした第1部「ファントムブラッド」は、貴族の跡取り息子ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)と、彼の家を乗っ取ろうとする野心家ディオ・ブランドーの、世代を超えて続く宿命の始まりを描いています。

これまでの記事では「技術の進化」や「組織のマネジメント」といった外向きのテーマを中心に語ってきましたが、このジョジョという物語の扉を開くにあたり、私自身の「エンジニアとしての矜持」と、一人の人間としての「根っこ」にある精神性を深く掘り下げられればと思います。

理不尽に同調してしまった「若さ」という名の未熟さ

物語の冒頭、ディオはジョナサンの平穏な生活を徹底的に、かつ冷酷に破壊します。愛犬を傷つけ、友人を奪い、孤独へと追い込んでいく。

そこまでの極端な悪意ではないにせよ、
若い頃には、理不尽さに飲み込まれそうになる場面はあります。

私にも苦い記憶があり、それは学生時代、クラスの中にいた「いじめっ子」のような存在。本当は彼がやっていることは間違っている、自分はそうは思わないと心の中で叫んでいながらも、周囲から嫌われることや、自分が標的になることを恐れて、その子に同調してしまったことがありました。

あの時の、自分の誇りが指先から少しずつ砂のように崩れ落ちていくような感覚。それは「自分に嘘をつく」という、最も精神を削り取る行為でした。

ジョナサンは、ディオという理不尽に対して、ボロボロになりながらも「紳士」であることを諦めずに立ち向かいました。私には到底まねできそうにもありませんが、私もまた、そうした若かりし日の後悔と、そこから得た「自分の中に譲れない一線を引く」という決意を経て、今の自分を形作ってきたように思います。

職人の血統:細部に宿る「エンジニアの孤独な誇り」

ジョナサンが「ジョースター家の血統」という運命を背負っているように、私の中にも、脈々と引き継がれている気質があると感じます。

私の父はエンジニアでした。その背中を見て育った影響か、私には「細部まで徹底的にこだわらなければ気が済まない」という性質が深く根付いていると思います。

プロジェクトにおいて、「この部分は表面的に動けばいい」という妥協案が提示されることは少なくありません。でもエンジニアとして「いや、見えない部分の処理や、将来の拡張性を考えれば、ここまで作り込まないとダメだろう」と強く思うことがあります。

そのこだわりは、しばしば周囲との衝突を生みます。

「納期が優先だ」
「そこまで誰も見ていない」

などの合理的な声に囲まれ、一人で仕様書と向き合う時間は、ある種の「孤独」です。

でも時として「細かすぎる」と煙たがられたとしても、その執拗なまでのこだわりこそが良いプロダクトの仕上がりを左右し、最後の最後でシステムを支える防波堤になる。

日本の職人が持つような「妥協を許さない血」こそが、私のキャリアの土台にある、たった一つの誇りになっていると思います。

「天敵」がいない人生という、もう一つの物語

ジョジョにおいてディオは、ジョナサンを限界まで追い込み、成長させる「天敵」でした。しかし、改めて自分の52年の歩みを振り返ってみると、不思議なことに、自分を劇的に変えた「天敵」と呼べる人物が思い当たりません。

なぜ私の人生にはディオがいなかったのか。

それはおそらく、私がこれまで仕事で出会ってきた人たちが、たとえ厳しい注文をつけたり、激しく意見を戦わせたりしたとしても、その根底には「仕事を成し遂げたい」という誠実さや、相手への最低限の敬意があったから、と思われます。

あるいは、どんなに理不尽に見える相手であっても、私自身がその人から憎しみや対立を見るのではなく、何かしらの「学び」や「反面教師としての教訓」として捉えてきた結果なのかもしれません。

ディオはジョナサンの光を強くしましたが、私を強くしてくれたのは、天敵による破壊ではなく、多くの「師」や「仲間」との衝突と対話の積み重ねだったのだと感じます。

「紳士」としての戦いは、家族の笑顔を守るために

ジョナサンは、父「ジョージ・ジョースター」への愛と、家族の安らぎを守るためにディオと戦いました。若い頃の私にとって「戦う」とは、自分の能力を証明することや、高い壁を乗り越えることと同義でした。

でも52歳になった今の私にとって、「これだけは何があっても守り抜かなければならない」と思う対象は、極めてシンプルで身近なものに集約されています。それは、自分の家庭であり、隣にいる妻の笑顔です。

特別なイベントや劇的な成功ではなく「日々の何もない普通の毎日」。朝起きて、仕事をして、夜に妻と笑い合いながら食事をとる。そんないつもの日常風景が、いかに奇跡的で、どれほどの勇気と努力によって支えられているのかを、年齢を重ねるごとに深く実感するようになりました。

エンジニアとして「細部へのこだわり」を守り抜くことも、理不尽な評価に耐えることも、結局のところ、その「小さな幸福」という聖域を侵されないための、自分なりの戦いだったのだと思うのです。

ジョジョ 第1話のまとめ:人間讃歌は「誇り」の継承

ディオという侵略者によって、平穏な少年時代を奪われたジョナサン。しかし彼は、絶望の淵で自分の「誇り」を再定義して立ち上がりました。

私もまた、父から受け継いだエンジニアとしての「細部へのこだわり」という血を誇りに思い、愛する人の笑顔という「日常」を守るための勇気を持ち続けたい。

ジョジョという物語は、単なる能力者のバトル漫画ではありません。私たちがそれぞれの人生という名の戦場で、何を誇りとして生きるかを問いかけてくる、まさに「人間讃歌」の教科書にもなってます。

次回は、ジョナサンが手に入れた特殊な力「波紋(はもん)」について。新しい技術を習得する際の「呼吸」と、そこにある精神性の重要性について、52歳の視点から考察してみたいと思います。

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