仕事をしていると、「この人には到底かなわない」と思う相手に出会うことがあります。
私はITエンジニアとして30年以上、圧倒的な経験を持つ先輩や他部門の天才的な企画担当者など、「格上」の相手と向き合う場面を何度も経験してきました。
アニメ『はじめの一歩』第3話で、主人公の一歩が天才ボクサー・宮田一郎とスパーリングを行う場面。この圧倒的な実力差を前にしながらも、自分の持てる力を全力でぶつける姿に、とても共感を覚えます。
この記事では、そんな「格上への挑戦」と「敗北から得た手応え」について、私の現場経験を交えて具体的にまとめます。同じように挑戦の途中にいる方にとって、少しでも参考や勇気になれば嬉しいです。
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瞬時に二つの解を提示し、格上を驚かせた瞬間
一歩が宮田の予測を上回る一撃を放ったように、現場では長年の経験が「直感」という名の最短ルートを導き出す瞬間があります。
企画職からの難易度の高い要望
かつて他部門のベテラン企画職の方から、月次請求書処理の大幅な効率化という難易度の高い要望を相談されたことがありました。その瞬間、私の頭には即座に二つのルートが浮かびました。
その場で「二つの案があります」と伝えつつ、
- 1つは「既存の請求管理システムを最大限に流用して、最短2週間で対応する方法」(短期でコストを抑えたい場合向け)
- もう1つは「新たに専用モジュールを開発し、将来的に他の業務にも拡張しやすく、保守性も高い構造にする方法」(長期的な効率化を重視する場合向け)
と、メリット・デメリットをその場で整理して提示しました。
その方は目を丸くして「え?なぜそんな瞬時に2つの現実的な案が出せるの?」と驚き、しばし言葉を失っていました。
長きにわたる成功と失敗のたまもの
30年以上にわたる失敗と成功の蓄積が、思考を加速させて相手の想像を超える価値を生み出した瞬間でした。
まさに、格上の宮田が「素人の一歩に、なぜこれほどのパンチが打てるのか」と震撼した瞬間の構図そのものでもあったと思います。
この経験は、エンジニアとして「経験は確実に武器になる」と実感した、忘れられない記憶となりました。
「お蔵入り」アイデアが数年後に息を吹き返した日
スパーリングで負けはしたものの、一歩は自分のパンチが通用することを確信しました。ビジネスにおいても、「一度は否定されたものが、時を経て認められる」というドラマがあります。
私が新人時代、心血を注いで開発したものの、当時は評価されずに「お蔵入り」となってしまったプログラムがあります。それは、毎月手作業で行っていた請求書のデータ突合処理を自動化する小さな仕組みで、作業時間を大幅に短縮できる可能性があるものでした。
しかしその後、約4年が経ち、私が要求仕様を作成する立場になったとき、「これを組み込んだらどうか」と再びそのアイデアを提案してみたのです。
すると当時のメンバーたちが「それ、いいじゃん!」と二つ返事で賛成してくれたのです。
正式な仕様書の中に、かつての自分の「分身」が刻まれた瞬間、何とも言えない報われた思いで胸がいっぱいになりました。
最終的には製品化のハードルが高く実現は見送られることになりましたが、「会社として一度でも真剣に検討された」という事実は、私の中で今も消えない確固たる手応えとして残っています。
座標としてのライバル:定年後に「自分の道」を走る先輩の背中
宮田という目標ができたからこそ、一歩は過酷な練習に耐えることができたと思います。52歳になった私の場合で言えば、今の「目指すべき座標」となっているのは、かつての会社の先輩です。
その方は定年退職後、若い頃から続けていたジャズギターに本格的に取り組み、70歳を過ぎた今もライブ活動を続けています。毎週末の練習を欠かさず、オリジナル曲のリリースまで行うその姿は、まさに「年齢を言い訳にしない生き方」の体現です。
私はその先輩の背中を見て、「定年後も好奇心を失わず、自分の好きなことを追求し続ける」ことを自分の目標にしました。
今でも新しいAIツールの学習を始めるときや、このブログを毎週更新するときに、あの先輩の「70歳を過ぎてもライブを続ける姿」を思い浮かべ、「私もまだまだ走れる」と自分を奮い立たせています。
「我が道を行く」「楽しみながら歩き続ける」。
そうした大人が身近にいることは、後を追う者にとって最高の勇気になります。その背中は、私が人生というリングで走り続けるための、消えない指針となっています。
格上と向き合うときの「迷いなく一歩を踏み出す勇気」の正体
「強いって、一体どんな気持ちですか?」
一歩が物語の中で発したこの問い。
それは新しい課題や未知の技術に立ち向かうとき、多くの人が抱く不安と期待が入り混じった感情そのものだと思います。
完璧を目指さず、小さく試していく
例えば、生成AIを活用した大規模システム刷新プロジェクトに抜擢されたとき、私は「完璧に理解してから動くより、まずは小さく試してみよう」と判断し、即座にPoC(概念実証)を開始しました。
過去の失敗経験から「動きながら調整する方が結果的に早い」と学んでいたからです。
こうした経験を積み重ねて50代を迎えた今、私が感じる「強さ」とは、決して揺るがない自信ではなく、「迷いなく最初の一歩を踏み出せる勇気や爽快感」に近いものだと実感しています。
困難を分解し、苦労からワクワク感へと変える
目の前の困難をどう分解し、どう立ち向かうか。
その道筋が、30年以上の経験という血肉によって自然と身体に刻まれている。
その状態にあるとき、仕事はもはや「苦労」ではなく、次なる展開への「ワクワク」に変わっていくものだと思います。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 経験 | 30年以上にわたる失敗と成功の蓄積(例:月次請求書処理の自動化や大規模刷新プロジェクト) |
| 直感 | 蓄積された経験から、瞬時に「短期最適」と「長期最適」の二つの解を導き出す判断力 |
| 行動 | 完璧を求めず、まずは小さく試してみる(PoCを即開始するなど)迷いのない一歩 |
今回のまとめ
格上と向き合うとき、本当に必要なのは「完璧に勝つこと」ではなく、「自分の拳が通じた」という小さな手応えを積み重ねることなのかもしれません。
一歩が宮田とのスパーリングで感じたのも、「勝つ」というより、自分のパンチが通じた瞬間の手応えでした。
私の仕事の中にも似たような瞬間はたくさんあります。その場で瞬時に二つの解を提示できたこと、新人時代のお蔵入りプログラムが数年後に再び検討されたことなど、どれも劇的な勝利ではありませんが、「自分の積み上げが確かに役に立った」と実感できる瞬間でした。
52歳になった今、仕事とはこういう「小さな手応え」を一つずつ積み重ねていくものだと、心から思います。
格上と向き合うのが怖いと感じている方にも、まずは「自分の一歩」を踏み出してみる勇気を持っていただければ幸いです。


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