理不尽な評価を受けたとき、どう対処すればいいのでしょうか。
転スラ第4話では、リムルが大きな功績を上げたはずなのに罠にはめられ、追放される展開が描かれます。
私もITエンジニアとして30年以上、組織の中で理不尽な評価や突然のプロジェクト中止を何度も経験してきています。
この記事では、そんな理不尽な状況で「何が残り、次のチャンスにつなげるか」を、私の現場経験をもとに具体的にまとめます。組織の壁にぶつかっている方のヒントになれば幸いです。
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上司から「意味がない」と言われた新人時代の理不尽
新人時代の話ですが、私は市場動向を踏まえた分析を、グラフと説明で丁寧にまとめ、上司に提出したことがあります。重要なポイントは赤字で強調し、「この市場ニーズは今後3年で拡大が見込まれ、製品化すれば大きな差別化になります」と説明しました。
その資料をわずか10秒ほど見た上司から返ってきたのは、「その図は意味がない」という一言だけでした。理由の説明は一切なく、その図に興味を持った別の人に対しても、上司は「それは意味がないから」と追い打ちをかけるように繰り返しました。
今振り返れば、当時の私に足りなかったのは上司の意図を汲み取る力だったのかもしれません。
でもなぜ「意味がない」のかという論理的な説明がないまま下される評価は、ただ若手の芽を摘むだけの「理不尽」のように思えます。
この経験は、私のマネジメントスタイルに大きな影響を与えました。52歳になった今でも、部下の資料を見る際は必ず「なぜこの結論に至ったのか」を論理的に説明するよう心がけています。
「意味がない」で終わらせず、必ず理由を伝える。
これが、私が反面教師として得た最も大きな教訓です。
理不尽な評価の中でも「見てくれている人」は必ずいる
そんな理不尽な評価に晒される一方で、救いとなる「眼力」を持った人物との出会いもありました。それは会社に入る前の学生時代、所属クラブでの話です。
お調子者で軽く見られがちだった私に対し、クラブのリーダーは皆の前で「こいつなら、どんな会社に行っても絶対やっていける」と、1度だけでなく2度、はっきり断言してくれました。
当時、私はクラブのイベント告知チラシを担当していましたが、他のメンバーが「派手で目立つデザイン」にしようとする中、私は「ターゲット学生が本当に欲しい情報(開催日時・持ち物・得られるメリット)を一目でわかるように整理する」ことを重視していました。
リーダーはそのチラシの設計思想や、私が細かいところまでこだわる姿勢をじっくり観察してくれていたようです。
その言葉のおかげで、私は就職活動で「自分は物事を整理して伝えるのが得意」と自信を持ってアピールできるようになり、結果として第一志望のIT企業から内定を獲得できました。
リムルの器を見抜いたドワーフ王ガゼルのように、本質を見抜く力を持つ人は、リーダーとして最高の資質の一つだと思いますし、そうした一言は人を自然と動かす力を持っていると、私は52歳になった今でも強く実感しています。
プロジェクト中止(追放)から得た人間関係の資産
リムルはドワーフの国を追放されましたが、それを機に名工カイジンたちを自分の村へと連れ帰ります。私もかつて、心血を注いだ新規プロジェクトが採算性の問題で急遽中止になるという、ある種の「追放」を経験しました。
それはある金融機関向けの基幹システム刷新プロジェクトで、要件定義から設計まで約8ヶ月間、週6日ほぼ毎日夜遅くまでチームで取り組んでいました。中止が決まったときは非常にショックでしたが、そこで終わったわけではありませんでした。
発注先の担当者とは、プロジェクト期間中に何度も深夜まで仕様調整をした関係から、業界の裏話や他社の失敗事例を語り合う信頼関係が築けていました。中止決定後も、その担当者から「また一緒に仕事がしたい」と言われ、その後2件の別プロジェクトで再び一緒に仕事をする機会に恵まれました。
また、共に戦った部下たちからも「このプロジェクトで課長の判断力と粘り強さを見て、今まで以上に信頼できるようになりました」と、少し照れながらも言われるようになりました。
プロジェクトという「箱」は壊れても、そこで培われた「人間関係」という資産は、次のステージへ確実に持ち越すことができるのです。
理想と現実の狭間で選ぶ「優先順位」
この第4話では、カイジンは王への忠誠とリムルへの義理の狭間で、自らの道を選びました。しかし、現実の組織ではそう簡単にはいきません。
私が50歳のとき、大規模金融システムの刷新プロジェクトで、上層部が決めた「6ヶ月納期」に強く反対したことがあります。チームの負担が大きすぎると判断し、部長にデータ(想定工数と過去類似案件の失敗率)を示して直談判しましたが、最終的には「組織決定に従う」ことを選ばざるを得ませんでした。
そのとき優先したのは「家族の生活を守る安定」と「チーム崩壊を防ぐこと」。結果、プロジェクトは遅延しましたが、私は「できる限りの抵抗はした」という納得感を得ることができました。
仲間への義理を通したい、自分の信じる道を行きたいと願っても、生活基盤がある中で組織のルールを優先せざるを得ない瞬間はあります。それは「負け」ではなく、人生を成立させるための切実な選択です。
52歳の今、私はそうした局面で「ここだけは譲れない一線」を事前に明確にしておくことを心がけています。
理不尽を乗り越えて最高のチームを組んだとき
リムルがカイジン三兄弟という最強の技術者を揃えたように、私も初めて大規模プロジェクトのリーダーを任された際、約100名規模のチームをまとめることになりました。
「これは大変なことになりそうだ」と感じた私は、まずチームを6つのサブチームに分けました。そして最初に注力したのは「信頼できるサブリーダーの選定」でした。
これまでの仕事で特に印象に残っていた、納期が逼迫した状況でも冷静に優先順位をつけ、メンバー間の調整を上手くこなす3名のエンジニアには直接声をかけました。一方、残りの3名は「特定の技術領域に強いメンバー」をバランスよく選ぶようにしました。結果として、技術力と調整力のバランスが取れた布陣ができました。
全員が快諾してくれた瞬間、「これなら絶対にやりきれる」と確信しました。しかし実際には、要件定義の段階で上層部から突然の仕様変更が3回続き、予算も途中削減されるなど、想定外の困難が連続しました。
それでもサブリーダーたちがそれぞれの持ち場で優先順位を再調整し、チーム内で情報を透明に共有してくれたおかげで、最後までプロジェクトを完遂することができました。
理不尽な壁を、最強の仲間と共に一つずつ壊していく。その高揚感こそが、この仕事の最大の醍醐味だと、私は52歳になった今でも思っています。
今回のまとめ
ここまで、転スラ第4話から私が感じた「理不尽な評価を乗り越えるヒント」を、52歳現役エンジニアの視点でまとめると次の4つになります。
| 転スラの出来事 | 現実の仕事での学び |
|---|---|
| 理不尽な追放 | プロジェクトがなくなっても、人間関係の資産は残る |
| カイジンの選択 | 理想と現実の狭間で優先順位を明確にする |
| 優秀な仲間の確保 | サブリーダーの質がチームの命運を分ける |
| 困難を共に乗り越える | 理不尽な壁は、最強の仲間と共にこそ突破できる |
理不尽な評価や組織の壁にぶつかったときでも、「見てくれている人」が必ずどこかにいて、人間関係という資産は消えない。そして何より、信頼できる仲間と共に困難を乗り越える高揚感が、仕事の醍醐味だと改めて思いました。
あなたの現場でも、理不尽を感じたときに「次に何が残るか」を意識するきっかけになれば幸いです。


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