会社合併で気づいた「組織OS」の違い|エンジニアが転スラ第1話から学んだAI時代の働き方

会社の合併や部署移動で、「今までのやり方が通用しない」と感じたことはないでしょうか。

私はエンジニアとして、会社合併によって組織文化が大きく変わる経験をしました。そのときに感じた違和感や学びを思い出したのが、アニメ『転生したらスライムだった件』第1話です。

リムルが異世界で環境に適応していく姿は、AI時代の働き方や組織との向き合い方にも重なる部分があります。この記事では、会社合併を経験したエンジニアの視点から「AI活用」「組織適応」「交渉感覚」の3つのテーマを整理します。

AI時代の働き方や組織との向き合い方を考えるとき、環境が変わったときにどう動くべきか。そのヒントとして読んでもらえればと思います。

現代に現れた「大賢者」という名のAI

スライムに転生した主人公、後に「リムル」の名で活躍しますが、その彼を影から支え、あらゆる問いに答えてくれるのがユニークスキル「大賢者」。

異世界のファンタジーだと思って見ていたこの存在が、今や私たちの現実にも現れています。そう、GeminiやChatGPTといった生成AIです。

私たちは今、全人類が「大賢者」をインストールできる時代に突入しています。分からないことを瞬時に解析し、プログラミングのコードを書き、新しい視点を提供してくれる。これほど羨ましいスキルが、指先一つで使えるようになったのです。

ただし、この強力なスキルも、使わなければ宝の持ち腐れ。

大賢者のアドバイスを使いこなすリムルと、ただのスライムのまま終わる者。少なくとも私の周囲では、「AIを使うかどうか」で体感の差として表れてきているように感じます。

私はこの「現実世界の大賢者」と対話を続け、自分の思考を広げる道具として使いながら、その進化に遅れを取らないようにしたいと考えています。

私自身、最近はAIを次の3つの用途で使うことが増えました。

  • 新しい技術の概要を短時間で整理する
  • 文章や資料の構成を考える
  • 議論の別視点を出してもらう

「大賢者」のように万能ではありませんが、発想を広げる相談相手として使うと非常に頼りになります。

合併という名の「組織OS」の載せ替え

でも、どれほど強力なスキルを持っていても、環境(システム)が変われば苦労は絶えません。

リムルが「人間」から「スライム」へとOSを強制的に載せ替えられたように、私も会社同士の合併によって、働く環境が激変する経験をしました。

それまでの私の会社は、今から思えば非常に自由な「OS」で動いていました。誰もが自由に発言でき、仕事のスタイルも個人に任される裁量が大きかったと思います。

でも合併相手の会社は、まさに「管理された組織」。上からの指示を待ち、降りてきたタスクを完璧にこなそうと動きます。

例えば、合併後の最初のプロジェクト会議で、それまでの会社では当たり前だった「自由なアイデア出し」をしたところ、会議室が一瞬静まり返ったことがあります。

後から分かったのですが、その会社では「決定された方針に対して意見を出すのは上司の役割」という文化が強かったのです。この小さな違和感が、「組織OSの違い」を実感した最初の瞬間でした。

それ以来、私は新しい組織に入ったときは、まず「誰が意見を出す文化なのか」を観察するようにしています。組織のOSを理解するだけで、動き方の失敗はかなり減ると思います。

ただこの「文化(OS)」の違いは、想像以上に深刻でした。

どちらが良い悪いではなく、根本的な「動き方」が違うため、実際にお互いのやり方を理解するまでにはかなり長い時間がかかった記憶があります。

異世界に転生して体の動かし方を一から覚えるリムルのように、私自身、環境が変わったときには、それまでの成功体験を一度見直す必要があると感じた場面がありました。

交渉のテーブル感じ取る

そうした新しい環境(OS)の中で生き抜くために、私が頼りにしてきたのが、リムルが持つ「魔力感知」に近い感覚です。

視覚を失ったリムルは、周囲の魔力の流れを読む「魔力感知」によって世界を把握します。エンジニアとしてコードを追うのも大切ですが、キャリアを重ねて交渉の場が増えるにつれ、私も一種の「感知能力」を磨いてきたように思います。

会議室のテーブルに座り、相手と対峙する。交わされる言葉の端々、視線の動き、沈黙の長さ。それらを総合的に捉えることで、「このあたりが落としどころになりそうだ」というポイントが、理屈ではなく感覚として浮かび上がってくることがあります。

私の場合、交渉の場では次の3つを見るようにしています。

観察ポイント見ているもの分かること
1. 主張の強さ相手が繰り返す条件本当に守りたい条件
2. 避ける話題話題を変えるポイント弱点や妥協ライン
3. 沈黙後の発言最初に出る言葉本音に近い意図

この3つを意識すると、「本当に守りたい条件」がどこにあるのかが少し見えてきます。

これは1行ずつのコード(論理)を追う作業ではなく、システム全体のアーキテクチャを俯瞰するように、プロジェクトの空気感を読む作業に近いものだと思います。

エンジニアとして長く仕事をしていると、コードレビューだけでなく、「このプロジェクトはどこで詰まりそうか」という感覚が自然と育っていくものです。

スライムという弱小な存在でありながら最強の龍と対等に話せたリムルのように、「相手の意図」を意識することで、状況が少し読みやすくなったと感じる場面も出てきますね。

龍と対等になれた「開き直り」

最後に、”なぜ最弱のスライムが世界の破壊神とも言われる「暴風竜ヴェルドラ」と友達になれたのか”について。

第一話を見終わった後に考えてみましたが、そこには、究極の「開き直り」があったのでは?と思います。

転生前は、後輩から頼れるサラリーマンだった主人公。でも気づけば目も見えない一匹のスライムとなってました。この極端すぎる環境の変化が、「失うものなど何もない」という境地を主人公に与えたのでしょう。

仕事の現場でも、相手を「雲の上の存在」と神格化しすぎると、対等な対話はできません。でも転スラを思い出し、もし気後れしてしまったら心の中で「自分はスライムだ」と開き直ってみる。

肩の力を抜いたときに、相手との距離が少し縮まったと感じた経験は、私自身にもあります。

例えば以前、大きなプロジェクトの打ち合わせで、相手企業の役員クラスと直接話す機会がありました。

最初は「自分が話していいのだろうか」と構えていましたが、途中でふと「どうせ自分の言葉など大した影響にもならないだろう」と開き直って思っていたことを質問してみたところ、相手も笑いながら本音を話してくれました。

その瞬間に、会議の空気が少し柔らいだのを覚えています。

まとめ

こうして振り返ると、転スラ第1話には仕事にも通じるヒントがいくつも隠れていることに気づきます。

特に印象に残ったのは次の3つです。

テーマ転スラの要素現実の仕事へのヒント
AI活用大賢者AIを思考の補助として使う
組織適応スライムへの転生環境が変われば成功パターンも変わる
交渉力魔力感知空気を読む力も重要

最弱のスライムが、大賢者という知恵と、ヴェルドラという強力な存在に出会った第1話。そこには技術への好奇心と、人との向き合い方のエッセンスが詰まっていました。

次回は、スライムの体が持つ「捕食」という機能について。何でも取り込み、自分のものにしていくその姿から、私なりの「学び直し」の考え方を書いてみようと思います。

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