指示待ち集団を変えるには何が必要?現場経験から考える組織再生のヒント

何も動かなかった弱いチームを動かすには何をしたらいいのか。

私はITの現場で、外注スタッフ中心の小さなチームを任されたことがあります。「指示を出さないと動かない」、「問題が起きても誰も判断しない」、そんな停滞した現場でした。

そのときの空気を思い出したのが、転スラ第2話の「ゴブリンの村」の場面。

この記事では、リムルが弱い集団をどう変えていったのかを手がかりに、現場で感じた「チームが動き出す条件」について整理してみたいと思います。

チームをまとめる立場の方や、現場の空気を変えたいと感じている方にとって、何かの参考になれば嬉しいです。

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指示待ち集団に「思考の種」を蒔く戦略

私も以前、外注スタッフが中心の「弱小チーム」のリーダーを任されたことがあります。当時はIT関連の小規模な運用案件で、進行管理と調整を担当していました。

当時のチームメンバーは「指示を待つだけ」で、自発的に動くことはありませんでした。また何か問題が起きても「何をすればいいか分かりません」という、まさにゴブリン村のような停滞した状態だったと思います。

そうした状況を変えようと、まず私が着手したのは、彼らが自分の考えを言葉にする機会を作ることでした。具体的には毎日1時間のミーティングを設け、徹底的に問いかけを繰り返しました。

  • 「この状況をどう思うか?」
  • 「この作業で一番時間がかかっているのはどこだと思う?」
  • 「もし自分が責任者なら、どこを直す?」

そんな問いを投げても、最初の数日はほとんど沈黙でした。会議室の空気も重く、

「どうせ自分の意見なんて...」
「余計なことを言うと怒られるのでは...」

など、自信のなさというか、指示待ち感、警戒感が伝わってきたのを覚えています。

それでも続けるうちに、ある日ひとりがぽつりと「ここ、実は二重作業になってます」と言いました。そこからだと思います、少しずつ、メンバーの発言が増えていったを感じました。

この時の「やった!遂に意見を言ってくれた」といった感動は、今でも昨日のように覚えてます。兎に角、何でも良いので言ってくれることが最初の一歩だったんですね。

リムルがゴブリンたちに「戦う意思」を確認し自立を促したように、私自身の現場でも、技術より先に「当事者意識」を意識していました。

「ネーミング」が人をランクアップさせる

また第一話でもありましたが、
第2話でも「名づけ」というのが大きなキーワードになってます。

リムルが名もなきゴブリンたちに「名前」を授けると、なんと彼らは劇的な進化(ランクアップ)を遂げます。でもこれ、よく考えればファンタジーの世界だけの話ではありません。

「地位が人を作る」という言葉があります。
経験上、役割を言葉にしたことで動きやすくなる場面というのがあるものです。

ITの現場でも、単に「メンバーの一人」として扱うのではなく、「この領域のスペシャリスト」や「品質の最終防衛ライン」といった立ち位置を明確に定義することがあります。

実際にそうした役割を言葉にしたとき、それまで遠慮がちだったメンバーが「ここは自分が確認します」と自然に動き始めたことがあります。役割がはっきりすると、責任だけでなく「動いていい範囲」も見えるのだと思います。

名前や肩書きを付けることは、周囲に対する「この人はこういう役割である」という宣言であり、本人に対する「期待の表明」でもあります。

ネーミングとは、組織の機能を最大化するための「設計図」という位置づけになるのかもしれません。

対立を解消する「巻き込み」のマネジメント

主人公のリムルは、村を襲撃した牙狼族(がろうぞく)のボスを倒した後、生き残った群れを排除せず、仲間として受け入れました。この「敵を味方に変える」姿勢は、実社会、特に納品先との関係構築においても意識することが多いと思います。

例えば、納品先の担当者が特定の仕様に強く固執し、プロジェクトが停滞する局面があります。

ここで「やってください」「いや、できません」など対立してしまえば、プロジェクトそのものが危険にさらされます。相手がなぜその点に拘っているのか。私の場合はそこを確認するところから状況が動くことが多かったです。

相手の意見の裏には、実はその人の思いというより、実際にはその人の上司からのプレッシャーがあるのかもしれません。

私は、担当者が納得できる材料を提供するだけでなく、仮にそれが「できない」としても、その人が「自分の上司を説得できるための理論武装」を一緒に考え、提供するようにしてきました。

そうしたやり取りを通じて、関係性が和らいだと感じたことも結構あります。

文化の違う多種族を「まず混ぜる」統合術

第2話では、異なる種族を1つにまとめ上げるお話し。

リムルは新しく仲間になった牙狼族をゴブリンとペアにさせ、一つの村として機能させました。これは、以前私が経験した「会社の合併」に伴う組織統合のプロセスと重なります。

会社が合併する初期など、異なる文化を持つ組織同士は、必ずと言っていいほど反発し合います。

私の経験も同様で、片方の会社は「まず動いてみる」という現場主導の文化でしたが、もう一方は「承認が下りるまで動かない」という管理重視の文化でした。

同じ作業を進めるだけでも、

「なぜ勝手に進めたのか」
「なぜまだ動いていないのか」

と、お互いに不満が出てしまう。そんな状況を何度も見てきました。

「自由で裁量の大きい文化」と「厳格に管理された文化」が衝突すれば現場は混乱します。そんな時、私が大切にしているのは「まず混ぜてみる」こと。

最初は当然、戸惑いや摩擦が起こります。でも異なる専門性や背景を持つメンバーが同じテーブルで汗を流し互いの強みを知ることでしか、真の多様性はなかなか生まれにくいと思います。

相手を「異物」として見るのではなく、共通の目的を持つ「パートナー」として強制的にでも混ぜ合わせる。摩擦はありましたが、その中で互いの強みが見えた場面も出てきました。

今回のまとめ

弱いチームが動き出すとき、最初から大きな変化が起きるわけではありません。

意見を言える空気を作ること。
役割を言葉にして渡すこと。
対立をそのままにせず、共通の目的に巻き込むこと。

私の経験でも、現場が変わり始めるのはいつもこのあたりからでした。

転スラ第2話を見ていると、組織を動かすのは強さそのものではなく、人が動ける状態をどう作るかなのだと改めて思います。

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