何も動かない指示待ちのチームを、どうやって変えればいいのか。
私はITエンジニアとして、外注スタッフ中心の小さな運用チームを任されたことがあります。「指示を出さないと動かない」「問題が起きても誰も判断しない」、そんな完全に停滞した現場でした。
その重苦しい空気を思い出したのが、
『転生したらスライムだった件』第2話のゴブリン村の場面です。
この記事では、私が実際にそのチームを変えていった経験をもとに、指示待ち集団を動かすための3つの実践的なヒントをまとめます。チームをまとめる立場の方や、現場の空気を変えたいと思っている方の参考になれば幸いです。
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指示待ち集団に「思考の種」を蒔く戦略
私も以前、外注スタッフが中心の「弱小チーム」のリーダーを任されたことがあります。当時はIT関連の小規模な運用案件で、進行管理と調整を担当していました。
当時のチームメンバーは「指示を待つだけ」で、自発的に動くことはありませんでした。また何か問題が起きても「何をすればいいか分かりません」という、まさにゴブリン村のような停滞した状態だったと思います。
そうした状況を変えようと、まず私が着手したのは、彼らが自分の考えを言葉にする機会を作ることでした。具体的には毎日1時間のミーティングを設け、徹底的に問いかけを繰り返しました。
- 「この状況をどう思うか?」
- 「この作業で一番時間がかかっているのはどこだと思う?」
- 「もし自分が責任者なら、どこを直す?」
そんな問いを投げても、最初の数日はほとんど沈黙でした。会議室の空気も重く、
「どうせ自分の意見なんて...」
「余計なことを言うと怒られるのでは...」
など、自信のなさというか、指示待ち感、警戒感が伝わってきたのを覚えています。
それでも続けるうちに、ある日ひとりがぽつりと「ここ、実は二重作業になってます」と言いました。そこからだと思います、少しずつ、メンバーの発言が増えていったを感じました。
この時の「やった!遂に意見を言ってくれた」といった感動は、今でも昨日のように覚えています。とにかく、何でも良いので「自分で考える」きっかけを作ることが最初の一歩だったんですね。
リムルがゴブリンたちに「戦う意思」を確認し自立を促したように、私も技術的な指示の前に「当事者意識」を育てることを最優先にしていました。
「役割のネーミング」で人が動き出す
また第一話でもありましたが、
第2話でも「名づけ」というのが大きなキーワードになってます。
リムルが名もなきゴブリンたちに「名前」を授けると、なんと彼らは劇的な進化(ランクアップ)を遂げます。でもこれ、よく考えればファンタジーの世界だけの話ではありません。
「地位が人を作る」という言葉があります。
経験上、役割を言葉にしたことで動きやすくなる場面というのがあるものです。
ITの現場でも、単に「メンバーの一人」として扱うのではなく、「この領域のスペシャリスト」や「品質の最終防衛ライン」といった立ち位置を明確に定義することがあります。
実際にそうした役割を言葉にしたとき、それまで遠慮がちだったメンバーが「ここは自分が確認します」と自然に動き始めたことがあります。
例えば、私はあるメンバーに「品質最終確認スペシャリスト」という役割を明確に与えました。それまでは「誰かがやるでしょ」という空気だったチェック作業を、彼が自ら主体的に進めるようになったのです。結果、チーム全体のミス率が目に見えて減りました。
名前や肩書きを付けることは、周囲に対する「この人はこういう役割である」という宣言であり、本人に対する「期待の表明」でもあります。
実際にこうしたネーミングを意識するようになってから、チームの自発的な動きが明らかに増えたと実感しています。役割を明確にすることは、組織を設計する上での重要な「設計図」だと、私は現場で学んできました。
対立を「巻き込み」に変えるマネジメント術
主人公のリムルは、村を襲撃した牙狼族(がろうぞく)のボスを倒した後、生き残った群れを排除せず、仲間として受け入れました。この「敵を味方に変える」姿勢は、実社会、特に納品先との関係構築においても意識することが多いと思います。
例えば、納品先の担当者が特定の画面仕様に強く固執し、プロジェクトが停滞する局面がありました。
そこで「やってください」「できません」と対立するのではなく、まず「なぜその仕様にこだわるのか」を丁寧に聞きました。すると、その担当者の上司から「絶対にセキュリティを強化せよ」という強いプレッシャーがあることがわかりました。
私は「できない」と突っぱねるのではなく、代替案として「この部分だけセキュリティを強化し、他の部分は簡略化する」案を資料にまとめ、担当者が上司を説得するための理論武装を一緒に作成しました。
結果、その案が採用され、プロジェクトは停滞から脱却。担当者からも「助かった」と感謝され、以後、難しい案件でも相談される関係になりました。
異なる文化のメンバーを「まず混ぜる」組織統合術
第2話では、異なる種族を1つにまとめ上げる話が描かれます。リムルは新しく仲間になった牙狼族をゴブリンとペアにさせ、一つの村として機能させました。これは、私が以前経験した「会社の合併」に伴う組織統合のプロセスと重なります。
合併後、片方の会社は「まず動いてみる」現場主導型、もう一方は「承認が下りるまで動かない」管理重視型という文化がぶつかり、大きな摩擦が生じました。
例えば、ある機能改修作業では、現場主導型のメンバーは「とにかく早く作ってみよう」と動き、管理重視型のメンバーは「承認が下りていない」と止まる、という対立が頻発していました。
そこで私が実践したのは「まず混ぜてみる」こと。
両社のメンバーを意図的に3〜4名ずつの混合小チームに分け、1週間単位の共同タスクを課しました。最初は衝突が激しかったですが、2週間後には「相手のやり方にはこういう利点がある」と互いの強みを認め合うようになりました。
結果として、統合後のチームの作業スピードが以前より約30%向上し、異なる文化を活かした提案も増えました。
今回のまとめ
弱いチームが動き出すとき、最初から劇的な変化が起きるわけではありません。
私の経験から、特に効果的だったのは次の3つです。
- 意見を言える空気を作ること
- 役割を言葉にして渡すこと
- 対立をそのままにせず、共通の目的に巻き込むこと
実際に私が指示待ちの外注チームを担当したときも、この3つを地道に繰り返した結果、3ヶ月後にはメンバーから自発的な改善提案が出るようになり、チームの生産性が明らかに向上しました。
転スラ第2話を見ていると、組織を動かすのは強さそのものではなく、「人が動ける状態をどう作るか」にあるのだと改めて思います。
あなたの現場でも、まずは「問いかける」「名前を付ける」「混ぜてみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。


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